転生後の弟が推しだったから愛でたらヤンデレ化した【糸師兄弟】

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凛ちゃんって、冴ちゃん以外にこんな執着するんだ。
自分の事のはずなのに、他人事のように思ってしまう。


黙り込んでいる私を「逃がさない」とでも言うように、頬と右腕を強く掴む凛ちゃん。酷いな、逃げるつもりなんてないんだけど。




「何か言えよ姉ちゃ、」

「凛ちゃん痛い」




いきなり口を開いたかと思えば、いつもと何一つ変わらな私の態度。それに驚いたのか凛ちゃんは力を緩めた。

そんなに驚く？まあ、普通なら凛ちゃんの事に対して恐怖したり嫌ったりするだろうしね。
だけど私は普通じゃない。記憶持ちの転生者だ。前世から凛ちゃんについては、原作にある限り知り尽くしている。もちろん、ちょっとヤンデレ気味なところも。だから動じたりなんかしない。




「何があろうと人を傷つける事はしたらだめだよ？」

「え、あ…」

「痕は…ついてないね。良かった」




変わらない私の態度を目の当たりにして、凛ちゃんの様子も徐々に和らいできた。
場にそぐわない事思って申し訳ないけど、そのしゅんとしている表情めっちゃ可愛い。昔冴ちゃんもこんな表情してたよなぁ。





「ね、姉ちゃんごめ…」

「んー？全然大丈夫だよ。弟の間違いを正すのも私の役目だし」




へらりと笑ってそう言うと、凛ちゃんは再び私の首に腕を回した。さっきとは違って、優しく壊れ物を扱うように。




「ごめん。俺、自分の事しか考えてなくて…」

「大丈夫だって。姉ちゃん怒ってないから」




首に頭を密着させられている所為で、吐息がかすってくすぐったい。でも今はそんな事どうでも良い。凛ちゃんの心の拠り所が私一人になってしまったのだから、なるべく大きく刺激するのは避けないと。




＊
＊
＊




部屋を出て行く姉ちゃんを見送る。
「寂しいなら姉ちゃんと一緒に寝ても良いんだぞ〜？」って言われたけど遠慮しておいた。…今一緒にいたら、自分が自分でなくなってしまう気がして。

今日は抑えられたけど、次またいつくるか分からない。




「凛ちゃん」




俺は多分、自分で思っているより遥かに姉ちゃんに依存している＿＿＿

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