【銀魂ﾄﾘｯﾌﾟ】恋動の幕末

♯2 ページ5

「…江戸って、江戸ですか」

「だからそうだっていってんだろ」


「あれですか。遠江の江に土ってかいた
あれですか」

「江土って何」



江戸ですよ、と新八君とやらが
紙に書いてくれた。見たことある字面に、
言葉を失う。









「……うそ、」



あり得ない話だ。私の知ってる江戸って
何年も前の話だもの。今平成じゃん。
明治大正昭和をまたいでの、江戸？





「…あり得ない、でしょ」








…しかし、それなら全て合点がいくのだ。



この街並みも、
通行する男性の頭のまげも
着物や袴を身につける町人のことも。







．






「ーーーどうしたアルカ？何かあった？」

「え、あ…すみません」



心配そうに覗き込んでくれるその女の子に
少し微笑んでみせた。何かあった、どころの
騒ぎじゃないぞ、これは。






．






「あの、ぶっ飛んだこと言ってもいいですか」


「あ？」
「どうしたんですか」
「なんでもいってみるヨロシ！」








．






「私、……タイムスリップ、
しちゃったみたいです」




私の命の恩人らしいこの三人に告げた言葉は
我ながら信じがたいものである。





「「「……は？」」」




案の定、三人は目を点にして声をそろえた。
そりゃそうだ。誰がそんな私にも理解不能な
事柄を信じられる？






「何いってんのお前」

「その、…つまりどういうことですか」

「タイムスリップって何ヨ！
どこの食べ物アルカ！？」




一人違うけどスルーする方向で。全部に
対応する余裕はない。




「いや、だって。…私がいるはずの世界では
江戸はとっくに滅んで、新しく平成って
呼ばれる時代が来てるんです」




まさか、こんな説明をする日が来るなんて。
感動にも似た気持ちを覚えつつ。

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