【銀魂ﾄﾘｯﾌﾟ】恋動の幕末

否定はできない ページ27

帰り道
坂田さんとともにならんで歩く




．





．





「…そういや神楽ちゃんと新八君は」





「あほか。こんな夜中にガキども
ほっつき歩かせるわけにゃいかねーだろ。

真選組からの連絡を知らせに来てくれたときに
家で待ってるように言った」



「…そうですよね」





すみません、と頭を下げれば





「お前謝りすぎだ。もう構わねェ」


なんて返事が返ってきた。





．





．






「……まあでも、警戒心はもう少し
持ってもらわねーとな」


「はい…」





警戒心ってどうやったら湧いてくるんだろう。
殺気とか放てばいいのかな




なんてことを永遠と考えていれば






．






……なぜかそばからほんのりと香ってきた
タバコの香り




．





．






「ーーーー……あ、」





そういえば、



「あ？どうした？」



「……土方さんの上着…返すの忘れてました」





．





タバコの香の正体は多分これだ。

先ほどかけてくれたこの上着





．





「んなもん後日でいいだろ。
あわよくば奴が風邪でも引いてくれりゃ
万々歳なんだけどな」



「…恨みでもあるんですか」





．





今日は本当によくしてもらってしまった。と
上着の裾をぎゅっと握った





．





．






「……なあ、A」


「はい？」





．





突然の呼びかけ

なんのとりとめもなくその人の顔を見上げれば
……なんでそんなにやついてんの。





．





．




．







「お前





．





………今度こそあのマヨ方君に惚れたろ」


…と。





．





……え、いやいやいやいや。





．






「そんなわけっ…」

「あるよな？」





助けに来たのは奴で、そのうえ
紳士に上着まで被せてくれたんだからよ、と。





．






きゅっと締め付けられる思いがする。

寒空のしたなのに、顔もだんだん熱を帯びて。





．






……ああ、私って単純なんだ。
彼は仕事でああしてくれたわけで、
別にあれが私ではなくても同じようにしたはずだ


いとも簡単に恋に落ちる、そう半ば呆れながらも





．






．







「ーーーーーそ、ですね」





．







……否定は、できそうにない。

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