【銀魂ﾄﾘｯﾌﾟ】恋動の幕末

♯3 ページ24

「なっ、真選組ッ…どっから！？」




扉をけやぶり姿を現したのは



「土方、さん……」



冷たく肌を突く夜風に黒髪をなびかせ
眼光が鋭く闇を刺した。



「なんでっ、見張りがいたはずだろ！」




紫煙を燻らせる彼は、
ふっ、と一つ鼻で笑った






「見張り？…下にゃ酔いつぶれた野郎どもと
誘拐された女達しかいなかったぞ」

「………ッ、くそ」



金属の擦れ合う音がして、ーー銀色に輝く刀身が顔をだす。




「敵前で酒を煽るたァいい度胸だな。
下はすでに鎮圧した」



落ち着いた様子で淡々と告げた彼に、
男は息を荒げて。






「……お、オラァァァァ！」

「っ……」




ぐっと前に押し出された体
足元には、…下の景色がよく見える。





「…大人しく全ての隊をこっから引かせろ
この女の命が惜しくばなァ」



声が出ない。"私に構わないで倒して"なんて、
かっこいいセリフの一つや二つ、言ってみたい
のだけれど。ーーそんな余裕はなさそうだ。






「馬鹿も休み休みいえ、犯人さんよ」
「この状況がみえねーのか！？」

「…状況みえてねーのは、テメェだろーが」

「…は？」



犯人はおろか、私さえ彼の言葉の真意が
わからずぽかんと口を開けたとき。ーー彼は
ニヤリ。一つ笑みを浮かべて。









「ーーー・・土方さーん、危ねェですぜ」

「なっ！？お！？あれ何だ！？」


「え、あれちょ…コラ総悟！一回ストップ！」




次の瞬間、ーーどごん、と大きくて派手な
爆発音が響き、明らかに流れ弾ではないで
あろうバズーカ弾

目をつむった私の横で、…ぼこ、と
鈍い音が耳をかすめ。






「ーーー大丈夫か」




次に気がつけば、…私を抱える、土方さんの
隊服の黒がみえた。




「心配すんな。あの弾は俺らんとこのもんだ」



…明らかにこっち狙ってましたけどね。
犯人と強制心中させられるとこでしたけどね


上着を私にかぶせた土方さんをみやり、



「…立てるか」

「はい」



数々の文句も出てこないうちに、
私は彼の手を、震える自らのそれで掴んでいた




ーーー
ーー

「お、土方さん、無事でしたか
人質はこっちで全員保護しやした」

「テメェな…騙し音鳴らせっつっただけだろ
なんで普通に当てようとしてんだ」


「弾がマイホームかのごとく土方さんの顔に
すっ飛んでったんで。惜しかったねィ」

「ぶっ殺すぞ！」



部下であろうその人とのやりとりに
こういう一面もあるのか、と笑みが漏れた

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