感情のありか ページ7
ー土方サイドー
「見えない?」
突拍子もなくおかしなことをいう。
その表現はひどく曖昧でわかりにくいものだった
「そうさ。闇の世界ってのは真っ暗で何も見えや
しない。都合の悪いことも良いことも。私は、
深くは望まないよ。生きてりゃそれでいいのさ」
間違いなく本心、ではあるのだろう。ーーが、
どこか自分に言い聞かせるように呟かれた言葉は、
やはり冷たく硬かった。
この世界は、こいつにとっての居場所であり、
生を与えてくれる場所なのだ。
衣食住には苦労しない。夜になりゃやってくる
オヤジの相手をこなすのみ。
「・・楽しいか」
「さてね。毎日繰り返されるおきまりの日常が
楽しいかなんて、そんな感情はとうの昔に
無くなってしまったのかも。ーーただ、」
"今は、久々に少し楽しいよ"
「お兄さんと話せて」
そういって切なげに笑う顔が、
光に照らされ、薄闇の中に浮かび上がった。
「会話なんてまともに交わす機会はないからね。
みーんなお目当てはアレ」
そいつが指差した先は、敷布団。
綺麗に敷かれたその横には、行為に対応するために
用意されたものが並べられており。
ーーあぁそういや、ここは遊郭なんだと。
「あんたは、望まないのかい」
「あいにく、俺ァそういう気でここにきたわけじゃ
ねーんでな。遠慮させてもらう」
「そうかい。・・そりゃ、残念だね」
「どういう意味だ」
「いいや?ただ、珍しくイイ男がきたもんだから、
少しはしゃいじまってんのさ、私も」
そうして、また切なげに笑みを浮かべる。
まただ。ーーーひどく惹きつけられる。
その動作に、表情に。
「・・・質問に、戻る」
「あぁ、そうだったね」
不自由な遊郭の女は、
ふかし終わったキセルを置いた。
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シュシュ☆☆(プロフ) - ややさん» ありがとうございます!嬉しいですっ!!読んでくださり、感激でいっぱいでございます!がんばります! (2018年2月1日 20時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
やや(プロフ) - 凄くいい話ですね尊敬しましたこれからも更新頑張って下さいね!!! (2018年2月1日 19時) (レス) id: 551e634984 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございます!土方さんは、実は優しいんじゃないかな?というのが私の妄想です笑。きっとピンチに助けに来てくれるはずです!あと少し、お付き合いいただけると嬉しいです! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 愛音さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!ちょっと土方さんがヘタレになってしまいましたが…最後はきっとビシッと決めてくれるはず…です!頑張ります! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!何とか一巻完結ということで、どうなるのやら私もわかりませんが、頑張って収めたいと思います!どうぞ楽しんでいただけると光栄です! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月4日 1時