"悪魔" ページ31
真っ赤に染まった頬と、とろけた目でよくもまあこれだけ格好つけられるものだ。
いや、酔っているからこそ、こんなことを言いだすのだろう。普段の彼なら、きっと言わない。
「随分と難しいことをいうね」
「難しくねェ。要するに全部取っ払って
好きなように生きろってこった」
「・・全部、取っ払う」
「ーーー好きに笑えよ、A」
あぁ、いけない。
私まで酔いが回ってきたらしい。
ひどく鼓動が速くて、顔が熱くて。
・・なのに嬉しくて切なくて。
だって、名を呼ばれたのは初めてだ。
この人の声で、はっきりと呼ばれたのは、
正真正銘私の名前だった。
(・・・全部は、取っ払えないけど)
もし、ほんの少し、取っ払っていいなら____、
「ーーーッ、おい」
「仕掛けたのは、そっちじゃないか」
その人の頬に手を伸ばした。するりと撫でれば
慌てたように制止の声を上げるお兄さん。
「私を酔わせたのはお兄さんだよ。
なら、責任持って介抱すんのが男ってもんだ」
「・・・あんた、まだ酔ってねェだろ」
「さてね。何のことだか」
近づけば、一瞬固まったその人から、
かすかに香るタバコの匂い。
触れてしまえばもう最後。理性も罪悪感も
自分の立場も何もかも、どこかに吹っ飛んで。
残ったのは、ーーー"欲"、"願い"
ろくなもんじゃない。
「ーーーねえ、"頼むよ"」
「・・ッ、」
・・あぁ、ずるい言葉。
私の意志を主張するそれ。
私に全てを取っ払えと言ったお兄さんにとって、
拒めない言葉だ。わかっていて使う私は、
ーーーー悪魔のよう。
観念したように体の力を抜いた彼の唇に、
口づけを落とした。
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シュシュ☆☆(プロフ) - ややさん» ありがとうございます!嬉しいですっ!!読んでくださり、感激でいっぱいでございます!がんばります! (2018年2月1日 20時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
やや(プロフ) - 凄くいい話ですね尊敬しましたこれからも更新頑張って下さいね!!! (2018年2月1日 19時) (レス) id: 551e634984 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございます!土方さんは、実は優しいんじゃないかな?というのが私の妄想です笑。きっとピンチに助けに来てくれるはずです!あと少し、お付き合いいただけると嬉しいです! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 愛音さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!ちょっと土方さんがヘタレになってしまいましたが…最後はきっとビシッと決めてくれるはず…です!頑張ります! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!何とか一巻完結ということで、どうなるのやら私もわかりませんが、頑張って収めたいと思います!どうぞ楽しんでいただけると光栄です! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月4日 1時