【銀魂】闇に酔う悪魔

会うたびに ページ22

銀髪のお兄さんは、諦めなければ終わらないと言った。ーーそんなものは、私にとっちゃ言い訳で、やっぱり、諦めるべきものはあるのだと思う。

それは、私のためじゃなくて、相手のために。









(・・相変わらず、綺麗な男だ)




会うたびに、惹かれていく。
けどその反面、会うたびに、やはり私が汚して
いい人じゃない。より一層、そう思えてくるのだ。







「あんたは、どうして私に構うのさ。
大友の情報がしりたいってんなら、他の遊女でも
いいじゃないか」





この男がここに来るから。
ーーーだから、私の世界は崩れた。






「・・そりゃそうかもしれねェな」




安定していた生活を、この男がかき乱す。
とんでもなく迷惑で、・・とんでもなく幸せで。







「だったらなんで___、」
「大友総二郎の件については、もう解決した」




静かに舞う紫煙が、今はもどかしい。
その人の顔を、私から隠すのだ。






「だから、俺ァここに、ーーー情報を求めて
きているわけじゃねェ」




ランプの火が揺れた。
小さなそれは、今にも消え失せて、私の目の前を
暗闇で塗りつぶしてしまいそうだった。






「用なんざねーんだ。・・だが、悪ィな。
今俺がここにいる理由は、俺にもよくわからねェ」





まっすぐこちらを見据える鋭い眼光に、
迷いのない言葉に、嘘など感じれなくて。

簡潔かつ、答えでない答えに、拍子抜けた。







「・・なんだい、そりゃ」

「わかってる。それなりの理由がねーと、あんたも
外の人間を相手にするにゃ気がひけるんだろ？」






ちゃんと考える、と男。
小さく吐き出された紫煙を追いながら、
私は思わず苦笑を漏らした。






(・・・そういうことじゃ、ないんだけどね)




なぜそこまでして、私の元へ足を運ぶのか。
なぜこうして、話を交わすのか。









「ーーなら、こういうのはどうだ」




案外、鋭そうに見えて、鈍感なのかも知れない。
不器用で不躾で。そんな一面もあるのかも。






「俺は、あんたから裏の人間の情報を聞き出そうと
ここに通ってる」




「・・単純」

「わかりやすくていいじゃねーか」





その人が珍しく笑って言うもんだから、
また新鮮で。





「・・それじゃ、お兄さんはさしずめ、
悪い情報屋さんってことになるかね」

「何でも構わねーよ、建前なんざ」





・・・うまく、言いくるめられた気がするけれど。

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