もどかしく ページ12
ー土方サイドー
「以前の協力の礼」
そんな口実まで作って会いにきた。
俺自身も、その衝動の意味を知らぬまま。
ただ早急に仕事を終わらせ、歩いて、
ーーー気がつけばここにいた。
結果、こうして焦る結果となっているんだから
自業自得というべきことなのだろう。
そんな俺を一蹴するかのように穏やかに笑い、
「カッコいいじゃないか」と女は言う。
「侍ってのは、己の信念に従って生きるんだろう？
自分の意思、自分の進む道。・・それらを見据えて
生きるって、辛くて難しい。私にゃどう頑張っても
できないことさ」
以前こいつは、闇の中で、ーー何も見えない中で
生きるのは楽だと言った。黒に塗りつぶされた世界
では、下手に足掻くより、その場に立ち止まって
いたほうが安全なのだと。
「お兄さんは、強い目をしてる。
私には直視できないくらい、眩しいんだよ。
ーーでもだからこそ、私はあんたに惹かれる」
「は？」
「人間として、だよ」と再び笑う。
・・けどその笑みはまた、いつもの完璧に作られた
綺麗なものへと戻ってしまっていた。
「勘違いしたかい」
「・・あほか」
体が疼いた。
もどかしかった。こいつに何か伝えてやりたいと
思いながら、それは言葉になることはない。
誤魔化すように、新しいタバコを一本取り出した。
「ーーなんだ、お兄さんも吸うのかい」
「まあな」
「ちょいとお待ちよ」
俺の動きを止めさせたそいつは、
ごそごそと懐を探る。
「ーーー火くらい、つけさせとくれ」
その細く小さな手に乗せられたのは、
ただのライターだった。
頷くのは、憚られた。
何せ火付けを頼むってんなら、あの女のそばに
近づかなければならなかったからだ。
触れれば、近づけば、・・きっと今のままでは
いられない。もどかしく押し込めている何かが、
爆発しちまいそうな気さえしてくるのだ。
だか一方で、・・あの女が、あそこで1人ぽつりと
座り込んでいる現状が、嫌でたまらなかった。
「・・頼まァ」
一体全体どうしたというのか。
女1人に右往左往するなんざ。らしくねーにも
ほどがあるだろう。
嬉しそうな、どこか安堵したような、
そんな表情を見せたAをみれば、
まあいいかと、思えてしまう。
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シュシュ☆☆(プロフ) - ややさん» ありがとうございます！嬉しいですっ！！読んでくださり、感激でいっぱいでございます！がんばります！ (2018年2月1日 20時) (
レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
やや(プロフ) - 凄くいい話ですね尊敬しましたこれからも更新頑張って下さいね！！！ (2018年2月1日 19時) (レス) id: 551e634984 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございます！土方さんは、実は優しいんじゃないかな？というのが私の妄想です笑。きっとピンチに助けに来てくれるはずです！あと少し、お付き合いいただけると嬉しいです！ (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 愛音さん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！ちょっと土方さんがヘタレになってしまいましたが…最後はきっとビシッと決めてくれるはず…です！頑張ります！ (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます！何とか一巻完結ということで、どうなるのやら私もわかりませんが、頑張って収めたいと思います！どうぞ楽しんでいただけると光栄です！ (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シュシュ☆☆
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作成日時：2018年1月4日 1時
