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大太鼓の音に合わせて応援が始まる。



まだ姿の見えない選手たちを待ちながら

掛け声とともにメガホンを叩いていると、







「ねえ、A」


「ん?」


「烏野ってさ…青城に勝ったんでしょ?」







真横で立って応援していた友人が、ぽつりと呟いた。




その声は、太鼓の音や周りの声に

消されそうなくらい弱々しくて小さいもので。








「すごく上手い人が何人かいるって聞いて」








大丈夫だよね?


心配そうな表情で私の顔を見つめてきた。








「……うん」







確かにこの3年間、決勝で当たるのは青葉城西ばかりだった。





烏野高校は強いて言うなら未知の相手で。

絶対安心とは言いきれないところはある。






だからだろうか、コートの上でウォーミングアップをする
黒いユニフォームに少しだけ緊張感が走る。






でも白鳥沢(ウチ)には牛島くんだっているし、

強さを求めて、努力してきた選手たちがいる。





まだ結果の出ていないのに弱気でいるのは、

そんな全力で取り組んできた彼らに対して失礼な気がした。









「大丈夫だよ。みんな強いし」








だから前向きに、精一杯彼らを応援することにした。







「まあ川西くんもいるしね」


「そうよ!うちの太一くんやる時はやる男だから」






ただやる気が人より少ないだけで。


なんて冗談も混じえながら笑顔で返す。





大丈夫、きっと大丈夫だよ。

友人と自分にそう言い聞かせてはメガホンを握った。









応援の掛け声が一気に歓声へと変わり、

白鳥沢の選手たちが堂々と会場へと入ってきた。



牛島くんを先頭に白と紫のユニフォームを着た選手たち。




『王者』と言われるプレッシャー。

『大エース』を有するチームとしての威厳。





いつもの制服姿や部活着の時とはまた違い、

体も大きく見えてとても頼もしく感じる。









ひいいい!たいちーーー!!!

なにあれ、かっこよすぎる……っ!!!





「12」と書かれた太一のユニフォーム姿が

本当にかっこよくて高揚した。

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作者名:nome. | 作成日時:2017年2月12日 0時

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