検索窓
今日:6 hit、昨日:21 hit、合計:191,512 hit

16 ページ17

.









「ぎゃっ、えっ、太一!?」


「はい、太一ですよ」








ここ最近、




あんなに会うことのなかった太一が

突然目の前に現れた。





驚きすぎてイスから転びそうになったけど

なんとか持ち堪える。









「な、何で!?」


「瀬見さんが"教室に残ってるかも"って言ってたんで」


「は、いや、部活は!?」


「大丈夫です。
まず、こっちをハッキリさせないと集中できないんで」








「終わったら、すぐ自主練戻ります。」と

私に反論させる隙を与えずに教室へ入ってくると

私の右隣の席のイスを引いて、こちらを向くような形で腰かけた。









「…あれ、前髪切りました?」


「え? あっ、うん…邪魔になっちゃって…」


「へえ。いいっスね、似合ってます」


「あ、ほんと? ありがとう」









実は、数日前に勉強中に視界に入る前髪が邪魔で、

前髪を短めに切っていたのだ。









う、うれしい…







髪に気付いてくれたことも、「似合ってる」の一言も、

本当に嬉しくて表情が柔らかくなる。






何より、太一が前と変わらず普通に話してくれたおかげで、

少しずつ緊張感が和らいできた。









「この前は妙な行動をとってごめんね」


「そっすね。あれは傷付きました」


「えっ、ごめん…」


「はは、ウソですよ。
あの時は俺も追い詰めましたし…すみませんでした」









そう言いながら頭を下げる太一に

「いいの、そんな…!」と慌てて手を横に振った。







ゆっくりと顔を上げた太一と目が合う。

久しぶりのその顔にドキッと心臓が大きく跳ねる。









「俺、Aさんの事ヘンな人だと思ってたんです」


「…え!?」









しかし、ドキッとしたのも束の間、

突然の太一のひとことで一気に現実に引き戻された。

17→←15



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (496 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
720人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:nome. | 作成日時:2017年2月12日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。