愛した者 ページ6
ニッコリと笑ったオベロンが何となくドクターと重なって、俺はいつの間にか小さく笑っていた。
すると、オベロンに不思議そうに首を傾げられる。
オベロン「マスター？」
立香「あ、ごめん。
ちょっと知り合いに似てるなって思って…」
オベロン「知り合い？」
立香「そう。人里を守る為に、自分を犠牲にして消えていっちゃった人。」
オベロン「………」
俺はマグカップに視線を落として、今はもういないドクターの事を思い返す。
その時、自分の手が段々と震えていくのが分かった。
オベロン「……マスター？」
大丈夫？とでも言うような表情のオベロンに、すぐに笑って返す。
立香「あ、ごめん。大丈夫だよ。」
嘘にしてはバレバレだなと、自分でも思ってしまうほどに声は震えてしまっていた。
一度思い出すとやはり辛くて、鼻の奥にツンとしたような感覚が広がる。
けれど、俺はその感情を押し殺そうと必死になった。
だって、もしも今泣いてしまったらきっと彼を困らせてしまう。
彼だけではない。他のサーヴァント達も、マシュだって困らせてしまうだろう。
それだけはどうしても嫌だった。
自分よりもサーヴァントである皆の方が何倍も痛い思いをしている。
それもこれも自分が不甲斐ないせいなのだから、今更こんな事で泣いて皆に迷惑を掛けるわけにはいかないのだ。
オベロン「…マスター。」
立香「っ……ほんとに大丈夫だよ。
大丈夫、だから。」
オベロン「立香。」
いつもより強い口調で名前を呼ばれ、肩がビクッと揺れた。
恐る恐るオベロンと目を合わせると、彼はゆっくりと近付いてきて俺の顔を覗き込んだ。
オベロン「僕はあまり誰かに寄り添ったりした事が無いから、上手く出来ないんだけど…。
でも、君の話を聞く事なら出来るよ。」
立香「っ……でも…」
オベロン「古株のサーヴァントから聞いた限りでは、君は僕達に迷惑を掛けてしまわないようにしていると言うから、大方今もそうなんじゃないかな？」
図星を突かれ、黙り込んでしまう。
オベロンは『やっぱり』とでも言うように頷き、俺の背中を優しくさすりながら子供をあやす様に言葉を紡ぐ。
オベロン「大丈夫。君は沢山頑張ったんだ。
ちょっと泣いた所で誰も君を責めないし、迷惑だなんて思ったりしないよ。
だから、溜め込んだものを全て吐き出してしまいなさい。」
立香「〜〜〜〜っ……」
その言葉を皮切りに堪えていた涙が溢れ、俺はオベロンにきつく抱き付きながら泣いた。
その間、オベロンは俺の話を危機ながら頭を優しく撫でてくれていた。
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こし餡の信者 - わんさん» 勿論ありますよ！ (2020年4月21日 15時) (
レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)
わん - これは参がある感じですか？ (2020年4月21日 2時) (レス) id: 8dc334f6e1 (このIDを非表示/違反報告)
こし餡の信者 - レインさん» 返信が遅くなり大変申し訳ありません！一気読みしていただけて嬉しいです^^ 中々更新が出来ずにいますが、完結はさせるのでお待ちいただければ幸いです！ (2020年4月9日 23時) (レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 最近一気読みしたものです。コロナウイルスなどで大変だとは思いますが、更新頑張って下さい！応援しています！ (2020年4月2日 22時) (レス) id: d7281daec0 (このIDを非表示/違反報告)
こし餡の信者 - レイさん» ありがとうございます！そう言っていただけると作者冥利に尽きます！更新もボチボチ頑張らせていただきますね！ (2019年12月4日 23時) (レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)
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