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糸は重みに耐えきれず ページ43

顔を上げると、そこには私と仮契約を交わしたサーヴァント……トリスタンが立っていた。

扉が開いた音はしなかった。
それはつまり、彼が最初からこの部屋にいた事を指していた。

彼は弓を片手に此方を見据え、静かな声で言葉を紡ぐ。


トリスタン「念には念を、とはまさにこの事ですね。
マーリンに頼んでおいて正解だったようです。」

「え……!?」

トリスタン「どうやら最後まで気付かなかったようですね。」


彼がそう言ってすぐに藤丸へと視線を戻す。
けれどそこに藤丸の姿は無く、代わりに綺麗な花が落ちていた。

それが指し示すものは…。


「(幻術……!)」

トリスタン「ここまでくれば、流石にお分かりでしょうね。」

「っ……ぃ……いつ、から…」

トリスタン「さぁ、いつからでしょうか。
最初から貴女に幻術を仕掛けていたのか、そうではないのか……それは本人しか知り得ない事です。」




あぁ、やってしまった。



やはり彼は気付いていたのだ。
私に忠告をしたあの時から。
気付いていたから、幻術を使い、こうして霊体化をして私がここに来るのを待っていた。


トリスタン「私は悲しい…。
貴女は他の者と違ってまともな思考をお持ちだと思っていたのですが……えぇ、実に残念です。」


落胆したような言葉とは裏腹に、彼の声はいつもと同じトーンだ。

ここのサーヴァント達は藤丸からストップがかかっている為、此方が手を出さない限りは何もしてこない。
けれど、一度でもカルデアや藤丸に害を成す事をすれば容赦無く制裁を下すのだ。

………それは私も例外ではない。
これから自分がどうなるのか、不安と恐怖で体が震える。


トリスタン「……あぁ、御安心を。
これまでの貴女の姿勢に免じて、惨いことはしません。」

「……え…?」


あっけらかんと放たれた予想外の言葉に、私はパッと顔を上げて彼を見上げた。


「ほ……本当に……?」

トリスタン「えぇ。」


表情を変えずに答える彼の思考は読めないが、ひとまず殺されることは無いらしい。

それを理解して少しだけ気を緩めようとしたその時、全身が凍り付いてしまったのではと錯覚してしまう程の、大きな圧がのしかかった。









「コソコソと動き回る威勢の良い鼠がどんな奴なのかと見に来てはみたが……所詮はこの程度か。」

「誤魔化しきれるとでも思っていたようだが……真のファラオたるこの余が、貴様らの思惑に気付かぬ筈が無かろう?」

千切れて落ちてハイおしまい→←それが出来ていたならば



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こし餡の信者 - わんさん» 勿論ありますよ! (2020年4月21日 15時) (レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)
わん - これは参がある感じですか? (2020年4月21日 2時) (レス) id: 8dc334f6e1 (このIDを非表示/違反報告)
こし餡の信者 - レインさん» 返信が遅くなり大変申し訳ありません!一気読みしていただけて嬉しいです^^ 中々更新が出来ずにいますが、完結はさせるのでお待ちいただければ幸いです! (2020年4月9日 23時) (レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 最近一気読みしたものです。コロナウイルスなどで大変だとは思いますが、更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月2日 22時) (レス) id: d7281daec0 (このIDを非表示/違反報告)
こし餡の信者 - レイさん» ありがとうございます!そう言っていただけると作者冥利に尽きます!更新もボチボチ頑張らせていただきますね! (2019年12月4日 23時) (レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こし餡の信者 | 作者ホームページ:ないっす  
作成日時:2019年7月14日 0時

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