それが出来ていたならば ページ42
それから、私は怪しまれないようにいつも通りカルデアで過ごして、とうとう深夜になった。
この時間なら、流石の藤丸もぐっすりと眠っているはず。
気配を消す魔術を自身に施し、薄暗いカルデアの廊下を進んでいく。
途中、サーヴァントの誰かに遭遇してしまわないかヒヤヒヤしていたけど、運が良かったのか誰にも会わずに目的の部屋に辿り着く事が出来た。
試しに扉に触れてみると、扉はなんの抵抗もなく開いたので、あまりの無用心さに呆れてしまう。
「(……私が言うのも変だけど、せめて自室のロックくらいはしておいた方が良いと思うけど…)」
ともあれ、これで藤丸の自室に入れる。
物音を立てないように慎重に中に足を踏み入れ、藤丸が寝ているであろうベッドまで近付いていった。
「(……いた。)」
そこには案の定藤丸が横になっており、すやすやと寝息を立てていた。
掛け布団の上に置かれていた手に目をやると、その指先は黒く変色している。
「っ……」
これも、レイシフト先で負った傷なのだろうか。
それとも、魔術の酷使に体がついていけずにこうなってしまったのだろうか。
しかもよく見れば、彼の手には他にも怪我や火傷の痕がそこかしこにあった。
あまりにもボロボロな姿を見て、今すぐにでもこの任務を放棄したくなったが、そんな事をする勇気は無かった。
意を決して、穏やかな表情で眠る藤丸の腕に手を伸ばす。
「(せめて、痛みは最大限に抑えよう…)」
隠し持っていたナイフを取り出した直後。
??「そこまでですよ。」
冷たい声が、私の耳に届いた。
146人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こし餡の信者 - わんさん» 勿論ありますよ! (2020年4月21日 15時) (レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)
わん - これは参がある感じですか? (2020年4月21日 2時) (レス) id: 8dc334f6e1 (このIDを非表示/違反報告)
こし餡の信者 - レインさん» 返信が遅くなり大変申し訳ありません!一気読みしていただけて嬉しいです^^ 中々更新が出来ずにいますが、完結はさせるのでお待ちいただければ幸いです! (2020年4月9日 23時) (レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 最近一気読みしたものです。コロナウイルスなどで大変だとは思いますが、更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月2日 22時) (レス) id: d7281daec0 (このIDを非表示/違反報告)
こし餡の信者 - レイさん» ありがとうございます!そう言っていただけると作者冥利に尽きます!更新もボチボチ頑張らせていただきますね! (2019年12月4日 23時) (レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ