風の魔術師、此処に降臨【弐】

芽生える怒り ページ19

・









＿＿バキッ！！









見渡す限り豪華な装飾品で彩られた部屋に、冷たい音が響いた。






少し前まで部屋で酒を煽っていた三人の内、二人のサーヴァントは持っていた器にヒビが入るのも構わずに殺気を放っている。


賢王「落ち着け、弓の我。太陽のもだ。」

英雄王「………」

神王「ほう？術の、貴様は自らの領域を荒らされかけているのにも関わらず冷静だな？」

賢王「たわけ。我とて奴等の愚行を赦すつもりはない。」


事の発端は数十分前に遡る。









あの後、マーリンとオベロンが訪れたのは賢王の部屋だった。
魔術協会の企みについて話をしようとしていたのだが、その時彼はたまたま神王ことオジマンディアス、英雄王ことアーチャーのギルガメッシュと酌み交わしていた。

その時点でオベロンは何となく嫌な予感を感じていたのだが、マーリンは全く気にせずに事のあらましを伝えてしまったのだ。
当然、それは他の二人にも聞こえてしまうわけで。

事情を聞いた英雄王と神王は怒りのあまり持っていた器にヒビを入れる程の殺気を放ったのだ。


英雄王「彼奴は最早我の物も同然！
……それを強奪しようとするとは、奴等は余程その命が惜しくないらしい。」

神王「立香は『貴様の』物ではないが………確かに、黄金のの言う通りではある。
このファラオを前にして身の程をわきまえぬ愚か者共には、相応の罰を与えねばならん。


＿＿良かろう！この余自ら赴き、魔術協会の蟲共に神罰を下してやろう！！」

賢王「ええい、落ち着けと言っておるだろう！
気持ちは分かるが、此方が表立って動けば立香にも被害が及ぶ。」


怒りを覚えながらも冷静を保つ賢王は、未だ怒りを収められない二人から視線を外してマーリン達に目をやった。









ーーーーーーーーーーーーーーーーー
オジマンディアスの表記を【オジマン】から【神王】に変えました。

静かに、されど確実に→←偶然など無い、と彼は言う

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す