風の魔術師、此処に降臨【弐】

有り得なかった再会 ページ11

オベロン「あぁ、そこに人だかりがあるという事は……マスター君、そこにいるかい？」

立香「あ、うん。いるよ？」


いろんな英霊に囲まれてオベロンの姿は見えないが、何とか返事を返す。
けど、生憎今は動けそうにない。


立香「ごめんオベロン、用事ならまた後で……って、うわっ！」


突然風が吹いたかと思うと、俺は宙に浮かんでいた。
そのままフワフワと移動してサーヴァントの輪から遠ざかり、オベロンの前にそっと降ろされる。


立香「っとと……あ、ありがとう。」

オベロン「ふふ、構わないよ。」


そこでふと顔を上げて、俺は首を傾げる。
……オベロンの後ろに誰かいる…？
明らかにオベロンのものではない髪が、彼の後ろから見えていた。

カルデアにこんな人いたっけ？

不思議そうにしていると、オベロンは後ろに隠れている誰かに視線を向けて穏やかに笑った。


オベロン「ほら、顔を見せてあげないと。
マスターも不思議そうだよ。」

？？「うぅ……確信犯め…」


そう言って、後ろにいた人物がおずおずと姿を現す。
白く長い髪に、褐色の肌。
その腕には模様のようなものがあって、指には指輪らしきもの。






立香「…………………え…………？」


俺の思考が、ピタリと止まった。




だって、そんな、有り得ない。
彼はあの時、己を犠牲にして消えてしまった筈だ。




俺は、確かにこの目で見届けたんだ。
あの人が、目の前で消えていく光景を。



なのに、何で……。









立香「………ドク、ター？」

ロマニ「えっと……久し振り…だね。
………立香君。」






へにゃりと笑ったその顔は、確かに彼と＿＿＿ドクターと同じものだった。

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