元カノは期待を裏切らない。 ページ2
-----
最悪。
太宰治の頭の中をその単語が埋め尽くす。
「水原…、A。如何して…？」
太宰は混乱していた。
四年前、
「如何して消えたんだ!!」
太宰は四年前に消えた水原Aにキレた。
あんな事、あんな事件があったあの年に消えたのだもの、死んだと思っても不思議ではない。
「いやぁ、御免よ、太宰。マフィアの貨物船が寝やすくて寝てたらアメリカに行っててさ」
水原の言葉で太宰は真顔なった。
そうだ、此奴はそういう奴だった、と太宰は遠い眼をした。
海賊の財宝が太平洋に埋まってるとデマの情報が流れた時は
太平洋に単独で飛び込みに行ったり、
一万ドルが明日空から降ってくるらしい、と太宰がデマを流した時は
特大の籠を特注で作ってもらいマフィア屋上で構えて待っていたり、
パチンコや酒で金を全部使い果たした時は
山奥に逃げ金のある物を片っ端から掘り返していたり。
と、太宰でも呆れる程の奇行を繰り替えす或る意味天才であった。
「…それで、何だっけ？」
太宰は怒るのにも呆れるのにも一瞬で疲れた。
「だぁからぁ、パチで金が昇天して大家にアパート追い出されたから太宰ん家、泊めてくんね？」
お願いだよ！、とAは両手を合わせる。
太宰は今にも殴り倒して殺したい衝動を抑える。
大丈夫、大丈夫、此奴はいつもこうだから、と。
「…職は、職はあるの？」
「嬢やってたけど、客より私が酒飲み過ぎて私が出禁くらった。バイトは生理的に受け付けない」
太宰は諦めた、もう、駄目だ。
Aはギャンブルに続いてアルコール依存症でもある。
それはそれは凄まじかった。
一日、否、一時間に何本ものビールを開け、ワイン一本を飲みほす。
それに加え、
「水原、死んだ方が私の為でもあるし君の為でもあると思うよ」
太宰は正直に伝えた。
そう、正直に。
-----
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 388人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シュピーゲルアイ - 大好きです。更新待ってます。 (4月9日 21時) (
レス) @page37 id: af33028691 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ - 好きすぎます (2月20日 3時) (レス) @page37 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
米粉めこ - 最高です！面白すぎて腹筋こわれましたwww (12月10日 18時) (レス) @page36 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - こういうお話好きです！続き待ってます！！！ (2022年9月18日 16時) (レス) id: f16cf667ce (このIDを非表示/違反報告)
遠藤氏(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» 自分も笑ってこようって思いまして、入社試験の回を読もうと思ったらどれが入社試験の回なのかわからず、どうしてこんなサブタイにしたのか後悔してますwww (2022年7月30日 18時) (レス) id: d7905a84e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：遠藤氏 | 作成日時：2020年5月13日 20時
