【掛け合い声劇】契約の代償【お嬢様と執事】

私は若桜 奈津。
両親を無残に殺した輩を1人で捕まえに来たわ。

でも案の定、輩に捕まってしまったわ。
私はバカね。1人なんかでは勝てないって思っていたのに、1人で行動してしまう自分が憎たらしいわ。

なぜ両親を殺したか、その理由は
私のグループと主従の関係を結ばないかと持ちかけ
たが拒否されてイライラしたから、だってね。
私の親は主従のような関係を望んでいない。
相手もお金持ちだとしても同等に接するような人。
だから、上流階級の方から主従の関係にならないかと誘われても拒否する人だった。


「アハハハ、バカな娘だ。親が馬鹿だったら子供もバカなんだな、アハハハ」

「お母様とお父様を侮辱するなんて！許せないわ！」

「うるさい。執事が来ないな。さて、殺っちまおうか」

「やめて！」
対抗しようとしたその時、

「ｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞーー」

輩の悲鳴が聞こえた。
何？と思って輩が見つめるところに目を移す。

「お嬢様、私を置いていかれるとは。本当にいけない方ですね？」

っ、なんでここが分かったのよ。
その前にテドのところへ行かなきゃ。

「テド、何で来たのよ！私1人で捕まえたかったのに！」

「あなたごときに輩を捕まえることができるのですか？」

あなたごときって…無礼極まりないわね

「そんな話はあとよ。」

「お前、こいつの執事か」

「えぇ。テドと申します。よろしくお願い致します。どうやら私がお仕えする方を殺めようとなさっていたようですね」

「あぁ！そうだ！」

「ですが、そんなことはさせませんよ。私は執事ですが、ただの執事ではありません。悪魔の執事ですから。」

「悪魔だと？そんなやつが執事になれるわけがない！」

「………。お嬢様、どうぞ」

えっ？なによ

「お嬢様？おねだり、ですよ。お教えしたはずですよね？」

はぁ。全くこの執事は……。

「命令よ、私を殺そうとした無礼な輩をねじ伏せさせなさい」

「かしこまりました」

すると、テドは輩へと一直線に向かった。
テドは悪魔。人間には勝てないはず。
私はそんな悪魔と契約した、『魔人』なのよ。
テドは金網などの武器を持って戦ったり
悪魔の力で輩をねじ伏せたりしていた。

「お嬢様、終わりましたよ」

「全く、何で来たのよ……」

「俺という悪魔と契約した魔人、つまり願いを叶えるために俺を呼び出した主人を助け、輩をねじ伏せただけに過ぎない。そして…」

テドは自分の手を私の輪郭をなぞった。
そして、こう言った。

「あなたは私のお嬢様。主をお助けするのは執事の役目ですからね」

あなたって人は……。

「とにかく、これであなたの悪魔としての役目は果たされた。あとはあなたの好きにしてちょうだい」

「そうですねぇ……。では俺の好きにさせてもらう。」

そう言ったテドは私にキスをした。

「私の恋人になって頂きましょうかね」

「な、なにするのよ！命が惜しくないの！？」

「いけないことをしてしまいましたか？」

テドは私を抱き寄せ、続けてこう言った。

「お嬢様も私のことがお好きなくせに」

「な、なに、言ってるのよ……そんなこと…あるわけがないでしょう？？」

「ならなぜ、火照ったようなお顔をされているのですか？？」

ん、そ、それは………。
諦めるしかないようね。
あなたにはやっぱり負けるわ。

「……そうよ。私はあなたが好きよ」

「やはりそうでしたか。」

「ほら、早く跪きなさい」

「ふふ、かしこまりました」

私はテドを跪かせた。
そして、こう言った。

「命令よ、私と恋人になりなさい」

聞いたテドは、こう返した。

「かしこまりました。お嬢様のお望みのままに」

そして私はテドにお姫様抱っこをされて
屋敷に戻った。
今までテドが傍にいたけれど
これからもテドが傍にいてくれる。
あなたには本当に油断ができないわ。

私に跪き、命令を受け取ったならば
私が死ぬまでずっと、傍にいなさい。
命令に背いたら、一生許さないわ。

分かったかしら？