信じさせてくれた人

『鬼を連れた剣士』

そんな者、本当にいるのだろうか？

我々、鬼殺隊の敵となる鬼を……。

連れた剣士なんて。

兄妹の絆？

そんなの、あるわけない。

私は、信じてる者に裏切られたのだから。

もう、何も信じない。

絆なんか、そんな綺麗事。

私はいらない。


＿＿＿＿＿そうだよ。

綺麗事だよ。

人なんか、すぐ裏切るに決まってる。

誰も、信じないんだから。

私は、絶対に、信じないと決めたんだから。




それなのに。

あの少年＿＿＿。

額に傷を負った、不思議な耳飾りを付けた。

名前は、確か………竈門炭治郎と言ったっけ。









あの少年を見ると、信じたくなる。

本当は、人はいい人なのかなって。

信じたい。

信じたくない。

真逆の気持ちが、私の頭の中でグルグルする。

信じていいの？

信じたら、また傷ついてしまうんじゃないの？







＿＿＿＿ねぇ。

私は………






どうしたらいいの＿＿＿＿＿＿？









『大丈夫です！頼ってください！』

『不安な匂いがします………何かあったら相談してください！』








その言葉、信じていいの？









私が信じるべき人は、あなたなの？









信じていいの？









私は、＿＿＿＿＿信じたい。









あなたのこと。









私にあなたを、信じさせて＿＿＿＿＿。









あなたに出会ったことで、こんなに私は変わってしまった。









初めて、人が恋しくなった。

初めて、人を愛しく思った。









愛も、恋も、何も知らなかった私が。









あなたに全てを教えてもらった。









「……………………任務だわ」

私はつぶやく。

とある村で人が食われてるらしい。

今日も私は鬼を狩る。









誰の為？

さぁ、誰の為かしらね。

分からないけど、まぁ、いいわ。









胸のあたたかさを覚えて、私は山を登った。









「水の呼吸＿＿＿＿＿」

ザシュッ

首を切ると、鬼の目から涙が出てきた。

悲しい過去が、あふれて見える。

前は見捨ててたのに。

私は、鬼の頭を撫でた。









全部、あなたのせいだよ。

前は、こんなことなかった。

私は、変わってしまった。

恋を覚えた。

好きという気持ちを覚えた。









あなたのせいだよ………。









炭治郎。

竈門炭治郎。









大好きな人の名前。









あなたのこと、好きだった。

大切だった。









いつか、このこと言えたらいいのに。









いつもそう思って、鬼を切る。









爪でやられても、肩を食われても。









いつも思ってた。









今日までは。









流れる血を見つめ、私は思う。









これからも、人を幸せにしてあげて。









竈　門　炭　治　郎









来世では、気持ちを伝えよう＿＿＿＿。









最期に見た、空は。









満天の星空。









流星群が流れる。









その星を見て、私は＿＿＿＿









大切な人の幸せを願った。







☆★☆★☆★☆★

解説します。

最初は、『鬼を連れた剣士』なんて、バカバカしいと思っていた夢主。

しかし、炭治郎の優しさに触れると、閉ざしてた心をだんだん開いていきます。

その中、炭治郎に恋していくのですが、なかなか伝えることができません。

そして、ついに鬼に敗北した夢主は、炭治郎の幸せと、

来世では気持ちを伝えられたらいいと願います。


ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございましたっ♪