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はい、モモハです!こんにちはー、どうも。
こちらは俺は魔王で嫁が勇者で命狙ってくるってもう意味わかんないけど楽しくやってます。【名前変換オリジナルファンタジー】の番外編となっております。
やべ最近全然更新してねえと思っての1日クオリティでお届けします、今回はラギファルト大帝国・フィーハル王国・日向ノ国の侍従たちがメインです。主人公は引っ込んでます(小声)。
どうぞごゆるりと〜。
はい、モモハです!こんにちはー、どうも。
こちらは俺は魔王で嫁が勇者で命狙ってくるってもう意味わかんないけど楽しくやってます。【名前変換オリジナルファンタジー】の番外編となっております。
やべ最近全然更新してねえと思っての1日クオリティでお届けします、今回はラギファルト大帝国・フィーハル王国・日向ノ国の侍従たちがメインです。主人公は引っ込んでます(小声)。
どうぞごゆるりと〜。
*ラギファルト大帝国の場合*
「ひゃあ、忙しい忙しい。まさかあたしまで駆り出されるとは」
「すいませんササキ、今日のパーティーは料理やら飾り付けやらやることが多いので」
肩を竦めながらテーブルクロスを広げるササキに、アルフレッドは苦々しく頭を下げる。普段通りの白衣を身に纏う彼女は、へらへらと片手を振った。
「いーのいーの。どうせあたしたちだって楽しむんだしね。そんなことより、ソフィは?」
「ああ、ソフィなら」
アルフレッドが視線で示そうとした矢先、少しばかり遠い所で小さく悲鳴が上がる。
「何をしとるソフィ!星の飾り付けはてっぺんじゃ!」
「すっ、すいましぇぇん……届か、ないぃ……!」
泣き目になりながら台に登り、星の飾りを手にクリスマスツリーを彩るソフィ。下の方ではリストが赤いちゃんちゃんこを羽織り、幼い容姿ながらも腕を組んで鼻を鳴らしている。
「奇遇じゃな、我も届かぬ」
「そんなあ〜!」
うわーんと諦観し始めるソフィ。アルフレッドは料理の配置もそこそこに、彼女の手伝いへ足を運ぼうとする。しかし、どうやらその必要はないようだ。
「何、1番上に付けるの?」
「あっ、はっ、ひゃい!」
颯爽と現れたヴァレンタインはひょいと彼女から星を取り上げると、アホ毛を揺らしながら首を傾げる。ソフィはたじろぎながらもどうにか頷いてみせた。途端、ヴァレンタインは軽く地面を蹴って見事に飾り付ける。周囲からは感嘆の声が漏れていた。
「はい、出来上がり」
「あああありがとうございま」
「見つけた!!ヴァルはこっちだろ!ボクとお姉ちゃんばっかに仕事押し付けるのは止めろ!」
憤然と歩み寄っては喚き散らすイザベラ。心做しか苛立ったようにソフィとヴァレンタインを見やる。そんな彼女のやや後方に立って見守っているのは、彼女の姉であるシルヴァだ。
「ごめんなさい、矢張りこのままだと衣装の整理間に合わないかもしれないんです。こちらに来て頂けますか?」
「ああ、ごめんごめん。困ってそうだったからちょっとだけツリーの方行ったんだ。すぐ戻るよ」
ツリー準備の人々にひらりと手を振ると、ヴァレンタインは姉妹の方へ駆けて行った。
イザベラは更に口を尖らせて、抗議の目をヴァレンタインに向ける。
「なんでボクの言うことに反応しない癖に、お姉ちゃんの時は」
「無視してるわけじゃないんだけど……なんとなく?」
「ばーか」
拗ねたように相手の脇腹を肘で小突くイザベラ。ヴァレンタインはあははと明るく笑いのけ、それとなく彼女の頭を撫でる。タラシ!と真っ赤になるイザベラに彼はまた一際笑みを深くする。
シルヴァは、青春だなと思いました(作文)。
「こんなもんだにゃ!」
「おいおい、城の前の清掃……こりゃ完璧すぎやしねえか。流石俺」
「カペルが凄いのにゃ!」
キシャー、と唸り声を上げた幼女に目もくれず。ロンドは再度、自分たちが掃除用具や魔法を駆使して磨き上げた石畳の道路に目を細める。なかなか俺も良い従者らしくなったんじゃねえかなんて思っては、隣で呆れ始めた猫又に視線を落とした。
「お前はだからモテにゃいの」
「うっせ。黙ってろィ」
うう寒い、と小声で炎魔法を唱えては、指先に火を灯したロンド。カペルもかじかんだ指先が限界だったのだろう、そろそろと魔道士に近づいては手を差し出した。
「あ?どうしやした」
「んにゃ。……気にしにゃい気にしにゃい」
そんなこんなで二人はぬくぬくしましたとさ。
____その後些細な会話から喧嘩勃発した二人が城の前の木々を燃やしてしまうことになったのは内緒。
ラギファルト大帝国のクリスマスパーティー準備は順調みたい。
*フィーハル王国の場合*
「ノア様、今年のクリスマスパーティーのご用意は」
「……いい」
「……はっ、はい!?!?」
うるさいぞ、とエフラムのツルピカ頭を鬱陶し気に見やったノア。玉座に座るその姿は普段と変わらぬ威厳こそあれど、今日だけはまた別の、倦怠感のようなものを感じさせた。
目を白黒させる自分の側近を横目に、この世の終わりでも見ているかのごとく寂しげな溜息を放つ。
「あれは元々妹の為に開いていたようなものであった。彼奴がかの魔王のもとへ嫁いだ今、私にすべき宴など無いのだ」
「初耳であります!」
「そうか、良かったな」
「はい!」
ツッコミ役なんて居なかった。
一方その頃、ペガサス厩舎にて。
「お、居た。エシナモ!」
兵士の簡易的な鎧をそのままに、衣擦れの音も気にせずに駆け出す青年。名を呼ばれた厩舎係の少女は暫し辺りを見廻すも、彼の姿を見つけるや否や、ぱああ、と顔を輝かせる。
「ラファくん。どうしたの?仕事は……」
「休憩時間だ。な、今日この後空いてるか?」
息を弾ませながら言葉を紡ぐ彼に笑みを零して、淑やかに頭を縦に振る。
「勿論だよ、だって……ラファくんと過ごしたいもん」
「……そりゃ良かった」
ラファエルがエシナモを抱きしめると、彼女も応えるように彼の背に手を回す。ペガサスの白い羽根が舞う中で、二人は互いの体温を確かめ合っていた。
不意に、車のブレーキ音が近くで響く。
ラファエルが咄嗟にエシナモを庇いながら後ろを伺うと、そこには黒塗りの高級車があった。運転席にはエフラム。そして複数の従者たちと、後部座席にはノア王が漫然と腰を据えていた。
ラファエルの腕の中からひょこりと顔を覗かせたエシナモは、不思議そうな声音を出す。
「ノア様?今日は何処へ」
「妹が居ないと嘆くなら、私が会いにゆけば良いだけだと気づいたのでな。諸君はいつも通り励んでくれ」
「王様!」
ラファエルが呼んだ時には、車は既に発進していた。バカップル……失礼、ラファエルとエシナモは呆然とするも、顔を見合わせた後吹き出して笑う。
「もう、ノア様も凄いなあ」
「そうさな。なあ、エシナモ」
なあに?と笑みを浮かべたまま上目を遣う彼女の額と自分の額をコツンと合わせる。
「これで、俺達も自由に羽伸ばせるよな」
「……ラファくんてば」
フィーハル王国は今日も平和みたい。
*日向ノ国の場合*
「ミオめ……彼奴は未だ戻らぬのか」
「ミオ姫様は戻る気が無いようにお見受けできますな!ガッハッハッ!」
「ロウエンあんたっ、黙ってなさいよバカッ!」
何処と無く不穏な空気を醸し出す大人達を見ては、アズマは呆れたように息を吐き出す。
「相も変わらずよね。ミヤビ様も更年期かしら」
「女帝は兎も角、あの猪獣人とオカマのやり取りは見ていて不快だな。矢張り野郎は華が無い」
「ヤマトあんたら聞こえてんだからね!アタシはオカマじゃなくてオネエ!あんた自分の師匠なんだと思ってんのよコラ!」
スオウの激昂する声に慌てて城を飛び出した三人。日常と同じく、真ん中にルイカ、両脇をヤマトとアズマが堅める。護衛も兼ねながら街をぶらつくのだ。
すっかりイルミネーションも増え、クリスマスムードとなる和風の国もなかなかに乙なものだ。尤も、生まれてこの方他国と縁のなかった三人は違和感もなく順応したのだが。
「すっかり寒くなったねー」
鼻の頭を赤くしながら、ルイカは手を擦り合わせて息を吹きかける。目元の包帯もいつもより念入りに巻かれているため、そこだけはぽかぽかだ。
アズマはそんな主を一瞥すると、おもむろに懐を探り始めた。彼女は衣擦れの音に気づいて立ち止まったルイカに、丁寧に包装された桃色の包みを差し出す。
「贈り物。今日くらい、ね」
「え……ありがとう!」
嬉しさから頬を蒸気させたルイカは、破らないように包みを解いていく。その中に隠されていたのは、不器用に編み込まれた厚手の手袋だった。早速自身の手に嵌める姫に、アズマは照れ隠しに頬を膨らませた。
「は、初めて編んだから下手くそだけど。許さないと駄目だから」
「ううん、むしろ好きだなあ。大切にする」
ぽわぽわとした笑みから目を逸らしたアズマは、ふとヤマトに顔を向けた。
「あんたも何かあるのよね。今出しちゃいなさいよ」
「む」
ヤマトは自身の袂を漁り、1冊の薄い本を取り出しては差し出した。
「これで色々と学べばいい。大丈夫、これは一から書いてある故」
「フンッッッ」
思い切りアズマによって後頭部を強打したヤマトは、そのまま顔が地面にめり込む。周りが少しばかり騒然とする中、動じないままアズマはルイカから本を取りあげた後に鼻を鳴らした。
「ルイカ姫に何読ませようとしてんのよ。本当に油断も隙もないヘンタイだわね」
「もっと罵ってくれても構わない」
「はぜ散れ」
ルイカは顔を交互に二人に向けると、困ったような笑みで首を傾げた。
「ご、ごめんね?絵とか文だと普通に読めないから」
「そうか……それはこちらの不手際だ。今度は映像を」
「だからヤマト!」
顔を上げては割れたメガネの奥で真剣な瞳を表す侍にいきり立つ獣人の格闘家。地団駄を踏んだ彼女の足元はヒビが入っている。
そんな中、頭に何かが触れた気がして、ルイカは夜空を仰いだ。白い息が上へ上へと昇る中、それは。
「……雪だ」
ルイカの静かな声に、従者二人も夜空を見上げる。
「通りで寒いと思った。この様子じゃ結構積もるわね」
「風邪を引いたら適わない。ルイカ様、これ使ってくれ」
ヤマトはさり気なく、薄紫の洒落た羽織を彼女の肩にかける。アズマはんなっ!?と目を瞬かせた後、呆れたように半目になる。
「何よまったく。ちゃっかりちゃんと持ってんじゃないの」
「最初にああすれば、僕にとって良いことがあると思ってな」
「タチ悪い奴」
二人のしょうもないやり取りを見て、ルイカはくすりと笑う。この雪が積もったなら雪合戦でもしようかと、鋭い寒さの中でもじんわりと暖かく胸に秘めながら。
日向ノ国は、今日も賑やかです。
貴方はどの国で過ごしますか?
おわり
*あとがき*
書き終えました!ざっと二時間弱(雑)
クリスマスですね!ケーキ食べました(ง ˘ω˘ )ว スヤッスヤッ
ご家庭によって様々な1日過ごされると思います。どうか楽しんでくだされ!
それでは良い年末を〜( *˙ω˙*)و グッ!
2018年12月24日 モモハ
「ひゃあ、忙しい忙しい。まさかあたしまで駆り出されるとは」
「すいませんササキ、今日のパーティーは料理やら飾り付けやらやることが多いので」
肩を竦めながらテーブルクロスを広げるササキに、アルフレッドは苦々しく頭を下げる。普段通りの白衣を身に纏う彼女は、へらへらと片手を振った。
「いーのいーの。どうせあたしたちだって楽しむんだしね。そんなことより、ソフィは?」
「ああ、ソフィなら」
アルフレッドが視線で示そうとした矢先、少しばかり遠い所で小さく悲鳴が上がる。
「何をしとるソフィ!星の飾り付けはてっぺんじゃ!」
「すっ、すいましぇぇん……届か、ないぃ……!」
泣き目になりながら台に登り、星の飾りを手にクリスマスツリーを彩るソフィ。下の方ではリストが赤いちゃんちゃんこを羽織り、幼い容姿ながらも腕を組んで鼻を鳴らしている。
「奇遇じゃな、我も届かぬ」
「そんなあ〜!」
うわーんと諦観し始めるソフィ。アルフレッドは料理の配置もそこそこに、彼女の手伝いへ足を運ぼうとする。しかし、どうやらその必要はないようだ。
「何、1番上に付けるの?」
「あっ、はっ、ひゃい!」
颯爽と現れたヴァレンタインはひょいと彼女から星を取り上げると、アホ毛を揺らしながら首を傾げる。ソフィはたじろぎながらもどうにか頷いてみせた。途端、ヴァレンタインは軽く地面を蹴って見事に飾り付ける。周囲からは感嘆の声が漏れていた。
「はい、出来上がり」
「あああありがとうございま」
「見つけた!!ヴァルはこっちだろ!ボクとお姉ちゃんばっかに仕事押し付けるのは止めろ!」
憤然と歩み寄っては喚き散らすイザベラ。心做しか苛立ったようにソフィとヴァレンタインを見やる。そんな彼女のやや後方に立って見守っているのは、彼女の姉であるシルヴァだ。
「ごめんなさい、矢張りこのままだと衣装の整理間に合わないかもしれないんです。こちらに来て頂けますか?」
「ああ、ごめんごめん。困ってそうだったからちょっとだけツリーの方行ったんだ。すぐ戻るよ」
ツリー準備の人々にひらりと手を振ると、ヴァレンタインは姉妹の方へ駆けて行った。
イザベラは更に口を尖らせて、抗議の目をヴァレンタインに向ける。
「なんでボクの言うことに反応しない癖に、お姉ちゃんの時は」
「無視してるわけじゃないんだけど……なんとなく?」
「ばーか」
拗ねたように相手の脇腹を肘で小突くイザベラ。ヴァレンタインはあははと明るく笑いのけ、それとなく彼女の頭を撫でる。タラシ!と真っ赤になるイザベラに彼はまた一際笑みを深くする。
シルヴァは、青春だなと思いました(作文)。
「こんなもんだにゃ!」
「おいおい、城の前の清掃……こりゃ完璧すぎやしねえか。流石俺」
「カペルが凄いのにゃ!」
キシャー、と唸り声を上げた幼女に目もくれず。ロンドは再度、自分たちが掃除用具や魔法を駆使して磨き上げた石畳の道路に目を細める。なかなか俺も良い従者らしくなったんじゃねえかなんて思っては、隣で呆れ始めた猫又に視線を落とした。
「お前はだからモテにゃいの」
「うっせ。黙ってろィ」
うう寒い、と小声で炎魔法を唱えては、指先に火を灯したロンド。カペルもかじかんだ指先が限界だったのだろう、そろそろと魔道士に近づいては手を差し出した。
「あ?どうしやした」
「んにゃ。……気にしにゃい気にしにゃい」
そんなこんなで二人はぬくぬくしましたとさ。
____その後些細な会話から喧嘩勃発した二人が城の前の木々を燃やしてしまうことになったのは内緒。
ラギファルト大帝国のクリスマスパーティー準備は順調みたい。
*フィーハル王国の場合*
「ノア様、今年のクリスマスパーティーのご用意は」
「……いい」
「……はっ、はい!?!?」
うるさいぞ、とエフラムのツルピカ頭を鬱陶し気に見やったノア。玉座に座るその姿は普段と変わらぬ威厳こそあれど、今日だけはまた別の、倦怠感のようなものを感じさせた。
目を白黒させる自分の側近を横目に、この世の終わりでも見ているかのごとく寂しげな溜息を放つ。
「あれは元々妹の為に開いていたようなものであった。彼奴がかの魔王のもとへ嫁いだ今、私にすべき宴など無いのだ」
「初耳であります!」
「そうか、良かったな」
「はい!」
ツッコミ役なんて居なかった。
一方その頃、ペガサス厩舎にて。
「お、居た。エシナモ!」
兵士の簡易的な鎧をそのままに、衣擦れの音も気にせずに駆け出す青年。名を呼ばれた厩舎係の少女は暫し辺りを見廻すも、彼の姿を見つけるや否や、ぱああ、と顔を輝かせる。
「ラファくん。どうしたの?仕事は……」
「休憩時間だ。な、今日この後空いてるか?」
息を弾ませながら言葉を紡ぐ彼に笑みを零して、淑やかに頭を縦に振る。
「勿論だよ、だって……ラファくんと過ごしたいもん」
「……そりゃ良かった」
ラファエルがエシナモを抱きしめると、彼女も応えるように彼の背に手を回す。ペガサスの白い羽根が舞う中で、二人は互いの体温を確かめ合っていた。
不意に、車のブレーキ音が近くで響く。
ラファエルが咄嗟にエシナモを庇いながら後ろを伺うと、そこには黒塗りの高級車があった。運転席にはエフラム。そして複数の従者たちと、後部座席にはノア王が漫然と腰を据えていた。
ラファエルの腕の中からひょこりと顔を覗かせたエシナモは、不思議そうな声音を出す。
「ノア様?今日は何処へ」
「妹が居ないと嘆くなら、私が会いにゆけば良いだけだと気づいたのでな。諸君はいつも通り励んでくれ」
「王様!」
ラファエルが呼んだ時には、車は既に発進していた。バカップル……失礼、ラファエルとエシナモは呆然とするも、顔を見合わせた後吹き出して笑う。
「もう、ノア様も凄いなあ」
「そうさな。なあ、エシナモ」
なあに?と笑みを浮かべたまま上目を遣う彼女の額と自分の額をコツンと合わせる。
「これで、俺達も自由に羽伸ばせるよな」
「……ラファくんてば」
フィーハル王国は今日も平和みたい。
*日向ノ国の場合*
「ミオめ……彼奴は未だ戻らぬのか」
「ミオ姫様は戻る気が無いようにお見受けできますな!ガッハッハッ!」
「ロウエンあんたっ、黙ってなさいよバカッ!」
何処と無く不穏な空気を醸し出す大人達を見ては、アズマは呆れたように息を吐き出す。
「相も変わらずよね。ミヤビ様も更年期かしら」
「女帝は兎も角、あの猪獣人とオカマのやり取りは見ていて不快だな。矢張り野郎は華が無い」
「ヤマトあんたら聞こえてんだからね!アタシはオカマじゃなくてオネエ!あんた自分の師匠なんだと思ってんのよコラ!」
スオウの激昂する声に慌てて城を飛び出した三人。日常と同じく、真ん中にルイカ、両脇をヤマトとアズマが堅める。護衛も兼ねながら街をぶらつくのだ。
すっかりイルミネーションも増え、クリスマスムードとなる和風の国もなかなかに乙なものだ。尤も、生まれてこの方他国と縁のなかった三人は違和感もなく順応したのだが。
「すっかり寒くなったねー」
鼻の頭を赤くしながら、ルイカは手を擦り合わせて息を吹きかける。目元の包帯もいつもより念入りに巻かれているため、そこだけはぽかぽかだ。
アズマはそんな主を一瞥すると、おもむろに懐を探り始めた。彼女は衣擦れの音に気づいて立ち止まったルイカに、丁寧に包装された桃色の包みを差し出す。
「贈り物。今日くらい、ね」
「え……ありがとう!」
嬉しさから頬を蒸気させたルイカは、破らないように包みを解いていく。その中に隠されていたのは、不器用に編み込まれた厚手の手袋だった。早速自身の手に嵌める姫に、アズマは照れ隠しに頬を膨らませた。
「は、初めて編んだから下手くそだけど。許さないと駄目だから」
「ううん、むしろ好きだなあ。大切にする」
ぽわぽわとした笑みから目を逸らしたアズマは、ふとヤマトに顔を向けた。
「あんたも何かあるのよね。今出しちゃいなさいよ」
「む」
ヤマトは自身の袂を漁り、1冊の薄い本を取り出しては差し出した。
「これで色々と学べばいい。大丈夫、これは一から書いてある故」
「フンッッッ」
思い切りアズマによって後頭部を強打したヤマトは、そのまま顔が地面にめり込む。周りが少しばかり騒然とする中、動じないままアズマはルイカから本を取りあげた後に鼻を鳴らした。
「ルイカ姫に何読ませようとしてんのよ。本当に油断も隙もないヘンタイだわね」
「もっと罵ってくれても構わない」
「はぜ散れ」
ルイカは顔を交互に二人に向けると、困ったような笑みで首を傾げた。
「ご、ごめんね?絵とか文だと普通に読めないから」
「そうか……それはこちらの不手際だ。今度は映像を」
「だからヤマト!」
顔を上げては割れたメガネの奥で真剣な瞳を表す侍にいきり立つ獣人の格闘家。地団駄を踏んだ彼女の足元はヒビが入っている。
そんな中、頭に何かが触れた気がして、ルイカは夜空を仰いだ。白い息が上へ上へと昇る中、それは。
「……雪だ」
ルイカの静かな声に、従者二人も夜空を見上げる。
「通りで寒いと思った。この様子じゃ結構積もるわね」
「風邪を引いたら適わない。ルイカ様、これ使ってくれ」
ヤマトはさり気なく、薄紫の洒落た羽織を彼女の肩にかける。アズマはんなっ!?と目を瞬かせた後、呆れたように半目になる。
「何よまったく。ちゃっかりちゃんと持ってんじゃないの」
「最初にああすれば、僕にとって良いことがあると思ってな」
「タチ悪い奴」
二人のしょうもないやり取りを見て、ルイカはくすりと笑う。この雪が積もったなら雪合戦でもしようかと、鋭い寒さの中でもじんわりと暖かく胸に秘めながら。
日向ノ国は、今日も賑やかです。
貴方はどの国で過ごしますか?
おわり
*あとがき*
書き終えました!ざっと二時間弱(雑)
クリスマスですね!ケーキ食べました(ง ˘ω˘ )ว スヤッスヤッ
ご家庭によって様々な1日過ごされると思います。どうか楽しんでくだされ!
それでは良い年末を〜( *˙ω˙*)و グッ!
2018年12月24日 モモハ
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作者名:モモハ | 作成日時:2018年12月24日 14時