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「僕の運命になってくれますか、」
星屑のような瞳がわたしを見上げる。
膝をつき騎士の様に跪いた小さな王。その姿勢に似合わぬ大きさに、怯んだ。
さだめ、デスティニー、宿命。その意味をわたしは理解しなかった。ただ、直ぐに魂で悟っていた。わたしもまた、彼を縛るのだと。
彼を縛る数々のモノを見る度憂鬱になった。わたしはその中のひとつでしかないのだと。運命という言葉に、矛盾した立ち位置でしかないと。
それでも、彼はわたしに向かってたしかに微笑んだのだ。
背筋に震えが走った。彼は彼を縛るモノの中にありながら、わたしというモノの前では自由でありたかったということ。小さな王が小さな我儘を見せる場所であって欲しかったという事実に、泣きたくなった。
その証拠に、彼はわたしとは違う女の子と婚約を交わした。彼を責めると、仕方がないのだと嗤った。貴女は大切なひと、唯一のひとです。それでも仕方がなかったのだと。吐息の様に嗤って、わたしにひとつ接吻をした。それが彼がわたしに遺した、ただ一つのものだった。
彼をこんなにも愛していたことを、彼に手が届かなくなって気付いた。小さな王は民草の為に散った。そんな自己犠牲すら小さな我儘だったと確信があった。心から貴方が抜け落ちて仕舞えばどんなに楽になれるだろう。貴方が居るところに冷たい風が通って痛いんだ。呼吸はただ外と肺を往復するだけで彼を悼む詞を紡ぐことすらできなかった。ただ貴方をひとめ見たかった。今となっては叶わない、だいそれた望み。
寡婦の様に喪章を腕に巻く。黒は、何処迄 も彼の色だ。艶々とした夜色の髪と星を嵌め込んだような瞳が瞼の裏を離れない。否、これだけは手離したくない。わたしの中の温かいものは貴方と一緒にいってしまったの。涙すら頰を冷やすだけ。
徒 な雫はしばし流れて、止まった。はっきりした視界の中で、頼りない指先が首に下がっているロケットを探る。些 かの装飾も許さないシンプルなそのペンダントを開くと、仏頂面の貴方が此方を見つめ返す。知人にどうしてもと頼んで手に入れた、彼の写真。わたしが標 になれていたのなら、貴方にこんな顔をさせずに済んだのだろうか。わたしは貴方を縛れていただろうか。それは義務に？それとも、生に？
『レギュラス！』
些細な会話。
『YOU』
走り寄ったわたしが彼に触れようとして、避けられる。
『はい、お土産！ダイアゴンで買ったの！』
それを意に介さず笑みを浮かべ続ける。おもいでの中の能天気だったわたしと彼を、他人の様に見ていた。
『あとで二人で食べましょうか』
彼の淹れてくれる紅茶は格別美味しかったっけ。まばたきがまた海を生む。
無邪気な笑顔を交換した。上弦を描いた睫毛 が揺れるのを美しいと思った。貴方がわたしの名前を呼ぶのを、いとおしく思っていた。──大好きだなんて、口にしたことがなかった。
一等星。蛇にあっての獅子。孤高の貴公子。正義に生きた 人。どんな美辞麗句も彼を飾れはしまい。それをほかでもないわたしがするのはただの偽善以上のなにものでもなくて。
懐古のリピテーション。もう一度挑めたら、貴方にこんな顔させないから。だから、一瞬だけでも良いから──そんな身勝手な願いが届くはずもなく、また藍に沈んだ。わたしは貴方の運命になれていたのだろうか。自問自答も虚しくて、今日も壊れたバイアスが世界を蝕む。わたしが貴方の運命だったのなら、いま欠け落ちたわたしは彼と共に在れていると、都合の良い妄想を夢に見ている。
繰り返したのは刻 をこえた星のない夜空。信じたものは、ひとつの形のない言の葉。求めたものは、貴方の隣の空席。
──眠気と哀しみは似ていると思う。透き通った温い水の中、慣れ親しんだ場所におちてゆく。沈んでゆく。哀しみはたゆたいすぎると多幸感にも通じるようで。光の揺らめく天上をぼんやりと見つめ恋いながら、ゆっくり、ゆっくり──
夢うつつのわたしの指に、体温で温 まったベッドシーツが絡んだ。それに安心して、再び幸せな夢に堕ちた。
『レギュラス君、──愛してる』
ながい微睡みの中の彼女の唇が、幽 かに動いた。
ーーー
かのじょはたちなおれませんでした！
ホムペにしたわりには文字数がないです。
もはや日本語を成してないきがするけど眠いからノープロ。ねますね。（終われ）
「僕の運命になってくれますか、」
星屑のような瞳がわたしを見上げる。
膝をつき騎士の様に跪いた小さな王。その姿勢に似合わぬ大きさに、怯んだ。
さだめ、デスティニー、宿命。その意味をわたしは理解しなかった。ただ、直ぐに魂で悟っていた。わたしもまた、彼を縛るのだと。
彼を縛る数々のモノを見る度憂鬱になった。わたしはその中のひとつでしかないのだと。運命という言葉に、矛盾した立ち位置でしかないと。
それでも、彼はわたしに向かってたしかに微笑んだのだ。
背筋に震えが走った。彼は彼を縛るモノの中にありながら、わたしというモノの前では自由でありたかったということ。小さな王が小さな我儘を見せる場所であって欲しかったという事実に、泣きたくなった。
その証拠に、彼はわたしとは違う女の子と婚約を交わした。彼を責めると、仕方がないのだと嗤った。貴女は大切なひと、唯一のひとです。それでも仕方がなかったのだと。吐息の様に嗤って、わたしにひとつ接吻をした。それが彼がわたしに遺した、ただ一つのものだった。
彼をこんなにも愛していたことを、彼に手が届かなくなって気付いた。小さな王は民草の為に散った。そんな自己犠牲すら小さな我儘だったと確信があった。心から貴方が抜け落ちて仕舞えばどんなに楽になれるだろう。貴方が居るところに冷たい風が通って痛いんだ。呼吸はただ外と肺を往復するだけで彼を悼む詞を紡ぐことすらできなかった。ただ貴方をひとめ見たかった。今となっては叶わない、だいそれた望み。
寡婦の様に喪章を腕に巻く。黒は、
『レギュラス！』
些細な会話。
『YOU』
走り寄ったわたしが彼に触れようとして、避けられる。
『はい、お土産！ダイアゴンで買ったの！』
それを意に介さず笑みを浮かべ続ける。おもいでの中の能天気だったわたしと彼を、他人の様に見ていた。
『あとで二人で食べましょうか』
彼の淹れてくれる紅茶は格別美味しかったっけ。まばたきがまた海を生む。
無邪気な笑顔を交換した。上弦を描いた
一等星。蛇にあっての獅子。孤高の貴公子。正義に
懐古のリピテーション。もう一度挑めたら、貴方にこんな顔させないから。だから、一瞬だけでも良いから──そんな身勝手な願いが届くはずもなく、また藍に沈んだ。わたしは貴方の運命になれていたのだろうか。自問自答も虚しくて、今日も壊れたバイアスが世界を蝕む。わたしが貴方の運命だったのなら、いま欠け落ちたわたしは彼と共に在れていると、都合の良い妄想を夢に見ている。
繰り返したのは
──眠気と哀しみは似ていると思う。透き通った温い水の中、慣れ親しんだ場所におちてゆく。沈んでゆく。哀しみはたゆたいすぎると多幸感にも通じるようで。光の揺らめく天上をぼんやりと見つめ恋いながら、ゆっくり、ゆっくり──
夢うつつのわたしの指に、体温で
『レギュラス君、──愛してる』
ながい微睡みの中の彼女の唇が、
ーーー
かのじょはたちなおれませんでした！
ホムペにしたわりには文字数がないです。
もはや日本語を成してないきがするけど眠いからノープロ。ねますね。（終われ）
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作者名：しぇるふぃあ。 | 作成日時：2018年2月17日 23時
