【歌い手】ありがとう【日替わり】

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いてくれて、ありがとう。
出会ってくれて、ありがとう。
仲良くしてくれて、ありがとう。

＿＿好きになってくれて、ありがとう。

重いって言われたってかまわない。それ程までに貴方は私にとって大切な存在だった。愛してるって、いかないでって、言えたらどれだけ楽だっただろうか。

＿＿ごめんね。さようなら。

◇

こんにちは、こんばんわ、千夜です。
辛気臭ぇなこのやろう！！(元凶)
けどキャプチャーあんまり関係ないです、シリアス好きなんですすいませんすいません……。

今までありがとう、って形を残したかった。
よろしくお願いします。

【member】(敬称略)
・そらる…unbalanced steps
・りぶ…夜更けと一杯
・KK…夜行列車、始発にて
・まふまふ…「そんなの、分かってんだよ」
・special secret(オリジナル)…see you again

リクエストはあれば受け付けますが、遅くなると思われます。ご了承ください。

5種類の結果パターン

あなたの本日の占い結果です - 2024年5月8日

「俺、上京するんだ」

高校三年生の冬。クリスマスの日に告げられた言葉は、あまりにも残酷だった。これからも一緒ね、なんて言おうと思った矢先の話だった。

彼について、そんな噂が立っていたのは耳にしていた。けれど、もしそんなことがあったら、律儀な彼のことだから、真っ先に知らせてくれるって信じてた。

だから、そんな根も葉もない噂、なんて言って笑い飛ばしてた。友人にも、彼氏上京するんだね、って何回声をかけられただろうか。信じてなかったのに。彼を信じて、信じてなかったのに。

「ねぇけけ、本当なの？」
「嘘は言わない。もう進学が内定したから、早ければ卒業式の日には越す。急でごめん」
「……そんなの」

そんなの、嫌だよ、あんまりだ。

そんなこと言えなかった。彼は音楽が大好きで、また、私も彼の音楽が好きだった。だから、いつか彼がミュージシャンになって、私の元に歌を届けに来て。なんて夢物語を語ったのを覚えている。

けれどそれは私にとって所詮“夢”でしかなくて。実際そうなったら、なんて考えていなかったものだから、どうしたらいいか分からなくって、取りあえず彼を抱き締めた。

「ちゃんと、会いに帰ってくるから」
「うん」
「電話も、こまめに掛けるから」
「うん…」
「東京にもさ、呼ぶから」
「う、ん……」
「だから、さ……」

“泣かないで”

そういって強くなる彼の腕は、少し小刻みに震えていた。声もまた、震えていた。

辛いのは私だけじゃない。彼が私を離した後に夜風に触れた皮膚が、より一層寂しさを伝えた。人目を気にせず泣きじゃくってしまった私を、涙ぐんだ声で大丈夫、なんて諭しながら、私よりも随分と大きな身体で、泣き顔を隠してくれた。

◇

どれだけ嫌でも、その日は来るもので。
高校の制服を着るのも最後になってしまった私達を見守るかの如く早咲きの桜が舞った。彼と写真を撮っていたら、黒板の落書きに古臭く相合い傘なんて書かれてからかわれた。

私達は、改札までずっと冷え切った手を握っていた。こすれた面があったかくなるはずなのに、寧ろ繋いでいない手の方があったかいような気がした。

「ありがとうね、今まで」
「ばか、東京行ったって誰にも渡さない」
「けけ、珍しく格好いいこと言うじゃん」
「いつもってことにしといてよ」

冗談言って、手を降って。
ホームに消える彼の姿を見ても、悲しくなるばかりで、自然と涙はなかった。

KK◇夜行列車、始発にて