伝える想い

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大切だから - 2024年5月6日

私は女である
その事実だけで、下心を持った方々からは囚人、看守を問わず歓迎されていた
しかしそれも単に私が南波刑務所では珍しい女だから、というだけ。

百式さんという私より魅力的な女性がいるのだから、もし百式さんが現れたら彼らは私じゃなく百式さん...看守長を歓迎するのだろうなと感じていた



でも、一人だけ例外がいた
13舎、13房の15番さんだ

彼の角度によって色が変わる、どこか幻想的な瞳はいつも私を映していた



最初は何で見られているのか分からなかった
でもやがて嫌でも気付いた。彼は私に惚れているのだと
新米だから、いまいちよく分からないけどもきっと一部の看守なら通った道なのだろう
七夕先輩なんか嫌という程通ってそうだ



残念ながら、私は彼の気持ちには応えられない



「なあ、わかってんだろ？」



故に。何とか穏便にこの場を切り抜けたいと考えている。
始まりはいつも突然だ。私が七夕先輩と話していたら、15番さんに横から浚われただけの話



体力のない15番さんが必死に私を運んでいるのを見て、私は何も言えなくなってしまった。その上彼は最近大怪我をしたばかりなのである。これ以上余計な怪我はさせたくないと私は大人しくする事にした



しかしまさかこんな事になるなんてさすがに想定外だ
19歳。まさかこの年齢で壁ドンとやらを初体験する事になるとは。



「...何が、ですか？」



「しらばっくれんなよ」



止めろ
止めて

そんな目で私を見ないで下さい



「俺が囚人でアンタが看守だからか？悪かったな。でも、抑えがきかなかった」



そう言うと15番さんは私の首に自らの腕を押さえ付け、私の顔を固定した
その上で私の顔を覗き込む



止めて下さい
止めて
止めろ
そんな瞳で私を見ないで

折角手にいれた居場所なの
こんな訳のわからない感情で壊したくないの
だから今まで気づかないフリをしてたのに
囚人と看守だからって、言い訳してきたのに

堕ちてしまうじゃないか



「好きだ、YOU」



ああ、駄目だ





堕ちた





――――――――――――――――――

要するにジューゴ→YOUに見せかけた

ジューゴ→←YOUの話です

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