日替わりペダル〜ラブラブ☆キッス編〜

8種類の結果パターン

甘〜いキッスはいかが？ - 2024年5月5日

☆真波山岳のターン☆


「真波！」
図書室の窓付近の陽だまり。目当ての人物をようやく見つけて思わず声を上げる。
「あ、YOUさんだ〜」
そんな私に呑気に声をかけるこの真波山岳という男。いつも通りの陽気さにこめかみに青筋が浮かんだのがわかった。
「昼ミーティングだって言ったでしょうが！」
ズカズカと歩み寄って、真波の前の席に座って小声で叱る。昨日メールで今日のミーティングに来るように言ったのだが、いつものごとく忘れていたようだ。
「あれ、そうでしたっけ？」
悪びれる様子もなくそう首をかしげる真波に、そろそろ怒る気も失せてくる。
はあ、ため息を吐かずにいられない。いつの間にか落ちていた視線を上げて再び真波に説教を試みる。

「だからね…！」
…え？
チュッ。聞こえた音。間近にある真波の瞳。額に触れる自分のものよりも硬質な髪。そして、唇に触れた熱。
「…ちょ！ま、真波！」
顔にぶわっと熱が溜まるのがわかる。
いや、でも、だって…！
「YOUさん、顔真っ赤。かわいい」
「か、からかうな、ばか！」
目を細めて笑う真波がいつもの真波と違う。いつもの、ほわわんとして呑気でふわふわした真波じゃない。細めた目はぎらりと光っていた。
「からかってなんてないですよ？」
それでいて声はいつも通り。何を考えているのかわからない。真波のぎらりとした視線を真っ向から受けて、顔や体の温度は下がる様子を見せず、むしろ上がるばかりだ。
「…じゃあ、さ、さっきの、何よ」
「んー？」
思わずどもってしまうのが恥ずかしいが、それよりもやはり悪びれない真波が腹立たしい。恨めしげに睨めば、真波が再び私たちの間の長机に身を乗り出して、私の頰に手を添える。その手は大きくて、硬くて。私を見る目は、鋭くて。いつもは意識しない肩の厚みや首の喉仏がやけに目につく。
あれ、真波ってこんな男っぽかったっけ。
「YOUさん、可愛かったから。
キスしたくなったんですよ」
そう低い声で呟かれた言葉に、心臓は大きく脈打った。
可愛い顔してなんてこと言ってんだ、このバカ真波！
顔が熱いのに、真波から目を逸らさない。恥ずかしい。

「…もう一回していい？」
「場所選べ、ばか！」
思わず口をついた言葉に「じゃあ、また後で〜」と機嫌を良くした真波は図書室から出て行った。一人、残された私はこの体の熱と脈の速さを持て余すしかない。


…このバカ真波！

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