【銀魂】Dead Flowers.

7種類の結果パターン

例え、その結末がどんなに哀しくとも。 - 2024年5月4日

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「…晋助さん」

「…あ？何か用か」

「いえ、特には。
…夫に会うのに、理由がいるのですか」



あなたが見ているのは、どなたなのですか。
そんな問いかけ、無駄だと知っているのに。

満月が爛々と、今宵もよるを照らす。
馬鹿みたいな私たちの愛は、月の光に呑まれて溶けてしまうのだ。


「…あなたも、酷い方ですね」

「…何が言いてェ」

想いのひとが、いるのでしょう。


酷く冷たい夜の空気に冷やされて。
燃え尽きた愛は、もういらないのに。




「…私たちの関係は、何なのでしょうか」


利害関係のための政略結婚。
彼からした私は。ただの邪魔者でしかないのだ。彼の物語での私は、哀れな醜い悪女。せめて答えてくださいよ。
ちぢれた想いが、いつまでも燻っていた。





「あなたを縛るのは私の筈なのに。
誓を交わしたのは、私の筈なのに…っ、」

空っぽの誓なんて、意味を成さないから。
彼を縛るは、私ではない。



「…哀れな女だと、お思いでしょうか。
それならば、それで結構です。

哀れ？卑怯？穢い？上等です」




…でも。
あまりにも、残酷ではありませんか。


「…すまねェ」


そんな哀しい謝罪、望んで無い。
何に対して、謝っているの。

私が欲しいのは…っ。
『愛してる』って言って、そっと私の髪を撫でて、その胸板で私をつつんで…。




彼はそっと、私の唇に自分のを重ねた。
あまりにも哀しい、接吻。

…所詮これは、茶番劇だ。
かなしいかなしい、報われないお話。
その翡翠の瞳に映る私は、あまりにきたなくて。その滑稽さに、思わず笑ってしまいそうになる。

燻る想いが、頬を伝うのに。
彼はジェントルマンではないから、拭ってはくれない。…そういうことなんだろう。




「…もう、行ってください」

あなたの隣は、私のものではないのでしょう？

「…すまねェ」




去ってゆく彼は、私の方なんて見向きもしなかった。可哀想な女だと、月が私を笑う。


かわいいかわいいヒロインにさえなれないのなら。せめて。茶番劇の、悲劇のヒロインに。
そう、望んでしまった。




もういいだろう。
縋り付くのにも、疲れてしまった。


そっと瞳を閉じて、海に飛び込んだ。

揺れる水面。
彼らの、あまりに幸せなハッピーエンド。

…あァ、皮肉なものね。
こんなときでも月は、私の涙を照らす。



水の中でそっと泡を吐き出して。
まるで、人魚姫みたいだと、一度、嗤った。



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黄色いチューリップ。
『望みのない恋』

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