カクテルの隠し言葉。【呪術廻戦】

9種類の結果パターン

今日のバーテンダーは＿＿ - 2024年5月6日

【五条 × 夏油】


閉店後のバーは、自分以外のお客が居なくて寂しいが、特別感もあった。


「YOU。来てくれたんだね」


洗い物で濡れた手をタオルで拭いて、傑がそう言う。もちろん、と返事をして、カウンターの好きな席に腰かける。

「悟は？」と聞くと、傑は私の後ろに視線を向けた。


「奥で片付けをしてるはずだけど……あ、来た」

「おい、もう来てんなら声かけろっつーの」


悟の声が聞こえた瞬間、髪をぐしゃぐしゃに撫で回された。

彼はどうも、私をからかうのが好きらしく、昔からこうやって遊んでくるのだ。


「ちょ、やめ…」


「悟、やめてあげな」と傑が言うまで、彼の手は止まらなかった。

乱れた髪型を手ぐしで整えながら、いじけていると、目の前からくすくす笑い声が聞こえた。傑はいつもどこか他人事である。
面倒事には足を踏み入れないのがずるい。


「呼ばれたから来たのに…
やっぱり二人共、いい性格してる所は変わってないね」


今日だって、誰もいない時間帯に来てくれたらご馳走する、と誘ってくれたから立ち寄ったというのに、まるで私を弄ぶために呼んだようではないか。


「まぁまぁ、ちゃんと約束は守るから」


と、反省しているのかしていないのか分からない言葉。
「次は無いからね」と軽く釘を刺しておいた。


「……で、ご要望は？」


カウンターに回った悟が、急にそれっぽく訊いてくる。
えーっと、と少し迷ったが、ここは二人の居るバーだ。どうせなら変化球でも頼んでみようかと不意に思った。


「悟と傑のお任せがいいな」


そう言うと二人はちょっと驚いたようにして、しかし、直ぐに余裕を取り戻す。


「まぁ、俺は傑より上手いから期待してろ」

「よく言うよ」


何気ない注文が闘争心に火をつけたらしく、競うように二人は作業を始めた。

どちらも手法はステアのようだが、
悟は赤褐色透明の水面にレッドチェリーを沈め、
傑はタンブラーに氷とオレンジ色のカクテルを注いだ。


「『ロブロイ』。お前強めが好きだろ」

「私は『スクリュードライバー』にしたよ」


ほぼ同時に出来た2つを見て、悟が「被ったな」と呟いた気がした。
色もグラスも違うのに、何が被ったのだろう？


「ああ、気にしないでいいよ」


傑にそう誤魔化され、私はそのままグラスを手に取った。

その意味を知るのは、きっともっと先だ。




＿＿＿＿＿＿

【ロブロイ･･･貴女の心を奪いたい】

【スクリュードライバー･･･貴女に心を奪われた】

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