TVXQ　奏心な愛　1　～ユチョン～

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Aさんの診断結果

第１話：Ｂｅｇｉｎ私はA。都内の小さな楽器店で働く29歳。音大を卒業後、ここへ就職した。

小さな楽器店なので来店者も少なく、のんびりした時間が送れる日々。
悪く言えば、同じことの繰り返しで刺激がない毎日(笑)。
でも、せかせかするのが苦手な私にはこの環境がとても合っていると思う。

オーナーの小沢さんは無愛想で口数が少なく、パッと見は気難しい感じ。しかし、楽器を扱う腕は超一級。
お得意様にはオーケストラのメンバーやプロのミュージシャンなど有名な名前もチラホラ。

「Aさん、もう時間だから店閉めようか。」
オーナーが時計を見て言った。
「あっ、はい。…あの …今日もいいですか？」
私は店の奥のピアノを指差した。

「ああ、いいよ。僕は用事があるから先に帰るね。戸締りよろしく。」
「わかりました。お疲れ様です。」
そういうとオーナーはコートをはおり、店を後にした。

ここからは私の至福の時間。
ドアに鍵をかけ、誰もいない店内で思いっきりピアノを弾く。
誰にも邪魔されず、自分の心地いいリズムで…。

最近のお気に入りは東方神起の『Begin』。
東方神起のことを知らなかった私に、友達が勧めてくれた。
初めて聞いたとき、『Begin』のピアノの旋律の美しさにすぐに惹き込まれた私。
すぐに楽譜を買いに行き、それ以来お気に入りの一曲となった。

「さぁ、一人演奏会始めますか！(笑)」
椅子に座り気持ちを落ち着かせ、そっと鍵盤に指を下ろす。
弾くのはもちろん『Begin』。
♪～ ♪～
店内に響くピアノの音色。
すぐに自分の世界に浸る。

曲も終盤に差し掛かったとき、気持ちが高ぶった私は思わず歌いだす。
「Every day and night with you～ふるえる君の手を握・・・」

ピアノを弾く指が止まる。

「はぁ…。なんで私ってこんなに音痴なの？せっかくいいところだったに。…台無し(苦笑)。」
自分の音痴さに苦笑いする。

ふと時計を見ると8時を回っていた。

「いけない！ユウコとの約束に遅れちゃう。」

鍵盤のふたを閉じ、荷物を持ち、急いで店の外に出て鍵をかけた。
「戸締りオッケー！」
そして、待ち合わせ場所に走って向かった。