TVXQ　奏心な愛　1　～ユチョン～

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Aさんの診断結果

第35話：オーナーとユチョン
あの日以来、ユチョンやチャンミンはしばらくお店に来なかった。

二人に悪いことしちゃったなぁ…。
ユチョンには気を遣わせたし、チャンミンには私の重い話を聞かせちゃったし…。
「はぁ…」
最近そのことばかり考えてしまい、ついため息が出る。

「そう言えば、あの二人来ないなぁ…。」
私のため息を聞いてか、オーナーが入口の方に目をやり、ポツリと言った。
「そうですね。」
私はそう答えることしかできなかった。

「実はな、僕はユチョン君と前に会ったことがあるんだ。」
「えっ？」
オーナーの意外な発言に驚いた。

「まぁ、会ったというか、“見かけた”の方が正しいかな。」
そして、オーナーは当時のことを話し始めた。

「知り合いのギタリストが東方神起のバックバンドメンバーなんだ。そして、そいつのギターの修理に行った時、たまたまユチョン君を見かけたんだ。」
「じゃあオーナーは、彼が東方神起だってこと知っていたんですか？」
「ああ、その知り合いに聞いて知っていたよ。ユチョン君を見かけたのはツアーのリハーサルが終わった会場だった。広い会場で彼は、一人ピアノを弾いていたんだ。」
その時のことを思い出しオーナーは少し目を細めた。

「あの時の彼の奏でる音はとても心地よくて、今でも耳に残っているよ。そして、彼のピアノを聞いた時、君が頭に浮かんだんだ。」
「えっ、私ですか？」
「なんでだろうな…。型にはまってなく、聴く人を惹き込むところが君と似ていたのかもな。」

「私と似ている？」
オーナーが言っていることがあまりピンとはこなかったが、なんとなく少し嬉しかった。

「あぁ、今日はやけに暇だな(苦笑)。ちょっと出かけてくるから何かあったら連絡して。」
「はい。いってらっしゃい。」

一人店に残った私。
こういうゆったりとした時間が過ごせるのは小さな店の特権だろうか？

私は、ピアノの鍵盤を人差し指で３か所叩いた。
旋律にも何にもなっていない音が店内に響く。

すると無性にユチョンの弾くピアノが聞きたくなった。
あの陽だまりのような温かな音を。