ONE PIECE〜ただ、そばに。〜(ｿﾞﾛ夢)

ただ、そばに。

18．あなただけが『…っ……』


肩を掴んだゾロの手が力強くて。


優しくて、温かくて。


一瞬にして心を静ませてくれた。


｢悪ぃ…。なんかお前が…泣きそうな顔してる気ぃして。｣


『……ごめっ…私…。』


うそ…。


私、確かに笑ってたのに。


｢その…大丈夫、か…？｣


じわぁ…


『うん…。…ごめん。ふざけすぎた…。』


どうしてだろう？


どうしてゾロには私の作り笑いが通じないんだろう？


今まで一度だって見抜かれた事なんて無かったのに。


｢……嬉しかったぜ？｣


『……え…？』


｢あいつじゃなくてAだってわかった時。正直すげー安心した。｣


Aの溢れた涙を拭いながら、ゾロは静かにそう言った。


『本当…に？私が嫌だったわけじゃ…ないの？』


｢だーかーら！！言っただろ？"嫌なわけないだろ"って。何度も言わせんな///｣


――――――――……！！！！


"なんだAか…"


それって、私だった事にがっかりしたわけじゃなくて。


しつこくまとわり着くミサじゃなかった事に安心して言った言葉で、漏れたため息だったってこと？


『よかっ…た…。』


｢あ？何が？？｣


『私、てっきりゾロに嫌われてるんじゃないかって思って…』


"嫌なわけないだろ"


本当に…聞き間違えじゃなかったんだ…。


｢はぁっ？！なにバカな事言ってんだよ。｣


『そっ…か…よかったぁ…！』


そう言ったAの表情からはいつの間にか涙が消え、本物の笑顔が戻っていた。

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