ユノとAさんのお話
第82話：待ってるねAがそう言って、僕はドキッとした。
そして思わず声を上げてしまい、周りの人が僕達を見る。
「そんなの嫌だ！ そんな事、絶対考えちゃダメだよ！」
「だからユノに感謝してるのよ。
作ってもらって当然だと思って欲しい位なの」
「そんな風には思えない。
僕は本当に大した事してないんだよ？」
「ユノがそう思ってても、私にとってはとても安らぐ事だったの。
いくら感謝しても足りない位にね」
Aはそう言うと、少し先を歩いた。
時々僕の方を振り向きながら。
そして僕達は地下鉄の入口まで来た。
「ユノ、食べたい物とかある？
あと、都合のいい日を言ってね。
私もそれに合わせて休みを取るから」
「分かった。そこまで言ってくれるなら、遠慮せずに言うよ。
肉じゃがと、かぼちゃの煮物が食べたいな。
Aのお母さんが作ったのがすごく美味しかったから、また食べたいんだ」
「うん、分かった。同じ味は無理かもしれないけど、
それでも構わないならね。都合のいい日はある？」
「事務所行ってからAに電話するよ。
スケジュールを確認しないと分からないから」
「じゃあ待ってるね。私は地下鉄で行くけど、ユノは？」
「仕事までは時間あるし、シャワー浴びたいから
１度宿舎に帰らなきゃ。だからタクシーで」
「そう。じゃあ連絡待ってるね」
「気をつけてね、A」
僕達は手を振り合い、その場で別れた。
Aは地下鉄に乗るために地下へ行き、
僕はタクシーを拾って宿舎へ帰る事にした。
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作者名：haruka | 作成日時：2010年1月1日 0時
