ユノとAさんのお話
第67話：１人にして…「A…どうしたの？ 泣かないで…」
「ユノ…。ごめん、少しだけ…胸を借りていい？」
「僕でよければ…」
僕がそう言うと、Aは僕の胸に頭を預けて泣いた。
優しく抱き締めて、頭を撫でながら慰める。
声を噛み殺しながら泣く姿を見ていると、僕も胸が苦しくなる。
誰が…Aが泣くような事を言ったんだろう？
日本にいるお父さんやお母さんに何かあったんだろうか？
Aはしばらく泣いて落ち着いたのか、
俯きながらだけど僕から離れた。
「ありが…と。ユノ…」
「A、何があったか聞いてもいい？」
「ごめん…それは…」
「日本にいるご両親に何かあったの？」
「ううん、そうじゃ…ないけど…」
「じゃあ他に何かあったんだね？
話したくないなら、無理には聞かないよ」
「うん…。…私、今日はデートする気分じゃないわ…。帰る…」
Aはそう言ってやっと顔を上げた。
だけどその顔は何の感情も持たない、無表情そのものだった。
「え？ 待たせちゃったの怒ってる？」
「ううん、そうじゃない。誰かと一緒にいる気分じゃないの…」
「じゃあ家まで送るよ。もう遅い時間だし、心配だから」
「いい、１人で帰るから…。１人にして欲しいの」
一緒に公園の入口まで行ったけど、
『おやすみ』と言ってAは１人で帰ってしまった。
僕が遅れた事には怒ってないみたいだけど、
やっぱり泣いてた理由が気になる…。
誰かと一緒にいる気分じゃないって言ってたけど、
悲しい事があった時は、誰か側にいて欲しいもんじゃないの？
デートを断られた事は気にしないけど、１人でいたいって…。
←第66話：どうしたの？｜第67話：１人にして…｜第68話：一緒にいる→
この作品をお気に入り追加
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような占いを簡単に作れます → 作成
この占いのブログパーツ
作者名：haruka | 作成日時：2010年1月1日 0時
