東・方・神・起 La La La・２～YUNHO～

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ユノとAさんのお話

第61話：僕にぶつけてよ「それを聞いて少し安心したわ。
私達、韓国へ来て２か月になるんだけど、
あの子も辛い別れを経験してきてるから…。
少しでも前に進もうと思ってくれたのかしらね」

「辛い別れですか？ Aさんが？」

「ええ。それまで付き合ってた男性と、
別れて韓国へ来たみたいなのよ。
２人の間に何があったかは分からないけど、
こちらへ来てから１度もその方のお話をしないから…。
日本の携帯も電源を切ったままみたいだし」

「……」

頭をバットで殴られたような衝撃だった。

Aに…恋人がいたなんて…。

「あの子ね、何かいい事があった時しかお酒を飲まないの。
韓国へ来てから、今日が初めてじゃないかしら。
お酒を飲んだのは」

お母さんは
【ユノさんと昼間に出掛けられたのが、よっぽど嬉しかったのね】
と言うけど、僕の頭には入って来なかった。

僕はソファーにもたれかかってるAの顔を見た。

君は…辛い事があったのに、それを顔に出さないんだね…。

仕事の時は分かるけど、プライベートでもそんな顔を見せた事はないよね。

僕達は仕事を含めてまだ４回しか会ってないけど、
Aの色んな表情を見てきたつもりだった。

前回会った時は泣かせてしまったけど、それは僕が悪かった。

それ以外でAが辛そうな表情を見せた事はない。

君はその心の中に、どんな思いを抱えてるの？

僕がその思いを軽くしてあげられたらどんなにいいか…。

僕に思いをぶつけてくれたら…って思うよ。

「ユノさん、あの子にこれを持って行ってくれる？
久しぶりのお酒なのに、飲みすぎだわ」

お母さんはそう言って僕に、水の入ったコップを渡した。