誰がどこの売り場担当かな？
謎の売り場２(つづき)――「お客様…？お目覚めのご様子で。」
「へっ！？」
「申し訳ありませんが…閉店時間となりました。」
「え？え？…なにっ？」
私がパカっと目を開けると
エージェントＪが不思議そうにこちらの顔を覗き込んでいた。
「お客様はマッサージチェアに座られたまま眠ってしまったようで…
その…なかなか声を掛けづらかったものですから…。」
――あぁ、そうだったのか…。
私、マッサージチェアに腰かけていたら気持ち良くなって…それで…。
「それはもう、天にも昇るような気持ち良さそうな寝顔をしてらっしゃいましたよ。」
そう言ってＪはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「やっ…やだ！…ちょっと！Ｊってば変なコト考えてたでしょっ！？」
「Ｊ…？？」
「そっ、そうよ…。
エージェントであるアナタのコードネームでしょ！？」
私がマッサージチェアから身体を起こすと
Ｊはアハハハとお腹を抱えて笑い出した。
「オレは【松本】。
スパイなんかじゃないし、ごくごくフツーのアラシデンキの店員さ。
キミは、よっぽどおかしな夢を見ていたんだね。」
接客で使っていた言葉とはガラリと変わった様子で
素を出してきたＪ。
「……。」
よく見ると首から提げたネームプレートには
【スマイルで接客☆まつもと】と書いてあった。
「キミ、面白いね。オレの仕事が終わったらさ？
その夢のハナシを聞かせてよ？それで…。」
彼は私の耳元で囁いた。
「……マッサージチェアよりも…
もっと気持ち良さそうなカオをするキミを見てみたいな♪」
「！！？」
「キミのほうこそエージェントさ…。
なんたってオレのココロを一瞬で盗んだんだから…ネ！」
fin.
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作成日時：2011年11月4日 21時
