誰がどこの売り場担当かな？
ドライヤー＆カーラー２(つづき)なかなか私に商品を勧めてこない…この店員さん。
実は私に商品を売るつもり無いんじゃないのかしら？
そう思ったとたん。
今度は客として？
女性として？
何だか悲しくなってきた私。
「僕、今は電気屋の店員だけど、前は美容師をやっていたんですよ。」
「え？美容師さんだったんですか！？」
そう言われて
私はすかさず店員さんのネームプレートを見た。
ふふっと微笑む店員さん。
首にかかったプレートには
【アナタの髪は私にお任せ☆おおの】と書いてある。
…あれっ？大野さん……？
私は見たことのある名札と
金髪の店員さんの顔を交互に見遣った。
「大野さんて、まさか…！？」
「思い出してくれましたか？Aさん。」
――あぁ…私、どうして気が付かなったんだろう。
「大体ね、１００℃以上の熱を３秒以上当てるだけで…
髪ってのは火傷をするんですよ。
それだと、せっかくのAさんの髪が傷んでしまうでしょ？」
躊躇う事なく私の髪に触れ
愛しそうに…
懐かしそうに…
それを眺めてくれる大野さんの瞳。
「Aさんは僕が居ない時もずっと…。」
「はい。ちゃんと大野さんのアドバイスを守ってきました♪」
とは言うものの…。
「やっぱり…クルクルに巻いた揺れるカールにも憧れるんです。」
「ふふっ…全く。
Aさんは…この数年で随分と色気付いちゃったんだね。」
「えぇぇっ！？そっ、そんなコト…。」
自分で顔が紅くなっているのは分かってた。
それなのに…。
「Aさん、またキミの髪を僕にお世話させてもらえないかな…？
あ…ぃや、髪だけじゃなくてAさんも…かな。」
そう言って私の髪の毛先を軽く唇に当ててきた大野さん。
ひゃあぁぁ。
大野さん、私いま…。
ドライヤーもカーラーも当てられていないっていうのに…！
その唇で
髪も身体も心も完全に火傷しちゃってます！！
fin.
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作成日時：2011年11月4日 21時
