虹のカケラ [相葉ちゃん:病系]

Aさんの診断結果

相葉sideそんなある日の夜。菜緒から逢いに来て、とメールが来なかった。

こんなこと、おかしいってわかってはいたけど、何だか心配になって気づけば菜緒に電話をしていた。

電話の向こうから聞こえてきた声に唖然とした。

「菜緒！どうしたんだ？泣いてるのか？」

小さな小さな震える声で俺を呼ぶ菜緒に思わず居場所を聞いてしまった。

菜緒は案の定泣きながら一人で路地の片隅に丸まっている。

「こんなとこいたら、ばれるぞ？」

少し乱れた服を見て、着ていた上着を脱いで、肩からかけてあげて、俺の家まで連れて行った。

家に着いても泣く菜緒に事情を聞くと

翔ちゃんに襲われたって。
お前とは体でしか付き合うつもりはないって言われたって、遊びだからって。

病院で精神病だと告げられたばかりの俺。
このままじゃこの芸能界としての世界で生きていくだけの精神が保てなくなるって。

大切なメンバーの為にしてきたことで、こんな病気になって、辞めなきゃいけなくなるまでになったのに。

それなのに翔ちゃんの菜緒に対する言葉で、全部無意味なことだったんだって哀しくなった。

可哀想なのは翔くんじゃないんだ。
菜緒だったんだ。

どうせならこのまま菜緒と２人で消えてしまいたい。そう思った。

俺は知らぬ間に菜緒の涙を拭い、翔ちゃんが付けた傷を舐めるように、優しく、優しく抱いていた。

嵐なんて辞めてしまおう。病気のせいでどちみち迷惑をかけてしまう。

そして何より…俺は


菜緒を愛してしまったんだ…。

決して愛してはいけない、大切な人の女を、俺は愛してしまったんだ。

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