【獣の奏者エリン】混血の異種はアクン・メ・チャイ

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Aさんの診断結果

額へのキスは祝福の証し目が覚めた。
場所は、見知らぬ天井ってことで、どこにいるかはわからない。

自分が生きてるって、感じがしていた。
この体は僕のもので確かなようだ。
両手を目の前にだして、握ったり開いたり。
右手首には、麻縄。
左手首には真っ白な包帯。

試しに左手首の力を抜いてブラブラと揺らしてみる。
まっ白な包帯には赤い血が滲み出してきた。

血が通っている。

あぁ、僕の体にはこれほど鮮やかな赤い液体がながれている。
つまり、
『僕、生きてるんだ。』

自分が生きてるって、確信した。

体全体の力を抜いて、パタリと両腕を落とす。
ふと横を見た。
緑の髪の少女がスヤスヤと寝ていた。

上半身を起こして、少女の頭を撫でた。
フワリと、森の香りがした。

あ、この子、
霧の民だ。
瞳を見なくてもわかる。緑の髪って自体が珍しいしな。

その少女の額に一つ、キスを落とす。
その瞬間、
ｶﾞｼｬｧﾝｯ

ドアの前ではおじさんがお湯の入ったタライを落としていた。

もったいない。
2

僕がおじさんのほうを見た時は、すでに硬直していて、
大きな物音に反応するように目を覚ました少女。

「目を覚ましたのね！」

少女はお日様のような笑顔で答えた。

「あ、おじさん！お湯！お湯全部こぼしてますよ！」

「ﾊｯ! エリン！コイツに近づいちゃいかん！襲われるぞ、、、！」

「えぇ！」

少女はエリンという名前なのか。

そして、おじさんは、エリンを後ろに。
どこから持ってきたのかわからない箒で戦闘態勢に入っていた。

こういうのはどういう風にすればいいのだろうか。

こんなことは“習わなかった”

「うちの娘はやらん!!」

え、
『もらうつもりはない。』

「貴様、、！女たらしか！」

女たらし、、？
たわしって事？

ｴﾘﾝ「おじさん、どうしたんですか？」

「コイツ、俺の可愛いエリンに、き、キスしやがった！」

ｴﾘﾝ「私に、キス、、、？」

『悪いのか？』

「悪気がないとは何事だぁ！」
ｴﾘﾝ「ちょ、おじさん落ち着いて！」

『・・・おかしいな。額へのキスは祝福ではなかったのか。』

「祝福ダァ？」

『生きてここにいることへの、祝福。』

「っ、！」

おじさんが黙った。なにかあるのか、？

ｴﾘﾝ「どうして、生きてることへの祝福なの？」

『生きることはつねに命懸けで、明日があるだけで幸せ、、だ、って、、、、ぁ、、』
なんだろう。なにか、忘れている気がする。

ｴﾘﾝ「どうか、したの？」

『いや、なんでも、ない。』