会えない数だけⅤ ～Next series～ (ページ33)

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Kentaro.

謙「は？」

瑠「だから～、ね？」

謙「ね？、って言われてもな」

凪が風呂に入ってる時、無理矢理ソファに座らせる瑠璃

せっかくの晩酌を邪魔された

瑠「いいじゃん、ママとの恋愛くらい話しても」

謙「聞いても何の得にもならないから」

瑠「減るもんじゃないでしょ！」

目を輝かせて聞いてくる娘に負け、仕方なく

あの時の思い出を蘇らせながら話し出した

確かあれは高校3年生最後の春、始業式のことだった

美勇人が急いでチャリを漕いでいる姿を

教室の1番後ろの窓から頬杖をついていたら

見知らぬ女の子を後ろに乗せて走っていた

謙「ふーん」

女の子はしっかりと美勇人のガリガリな体にしがみつき

立ち漕ぎで、髪型なんて気にせずにチャリを漕ぐ美勇人

それを見て不意に笑ってしまった

『間に合った？！間に合ってる？！』

先「森田、始業式に遅刻ってな！」

『や！これはマジワケあり！』

先「お前のその台詞はもう聞き飽きた」

『なんでだよ！』

先「いいから席につけ」

渋々折れた美勇人は、俺の前にどかっと座り

荒れた息を整えて俺に挨拶して来た

『やっすー、聞いて、俺ね、やべえ、』

謙「遅刻の理由がナンパだったとは、ねぇ？」

『は？！何だよそれ！ちげえよ！俺、ナンパなんか！』

先「森田、居残りしたいか？！」

『やだ！無理！却下！』

先「だったら前向け」

してやったり、なんて思いながら

美勇人はしっかりと前を向いて、鞄の中を必死に探って

メモを取っていた

数秒後、俺の机の上に置かれた一枚の紙切れ

急いでても達筆な字で書いてあった

" やべえ、一目惚れした "

その美勇人の一言で

俺の恋愛も同時に動き出していた

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