会えない数だけⅤ ～Next series～ (ページ27)

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『パパ、頑張っちゃうぞ～！』

久し振りに4人で囲む食卓

今日も " 美味しい " と口々にみんなが言いながら

ご飯を食べるのは私の一つの幸せ

そんな空気の中で利音が黙って彼に伝えた、自分の意志

初めは驚いていた、だって誰も予想していなかったから

利音の隣に座ってご飯を食べている鈴音でさえ

箸は止まるし開いた口が塞がっていない状態

そんな空気で黙々とご飯を食べる私

さっき話しを聞いたからっていうのもあるかもしれない

だけど、更に不安が募って聞きたくなかったから

平常心保っていたかったから、っていうのもある

ただその空気をぶち壊したのは彼だった

利「え、パパ、、？」

『何ー？あ、このテンション？
だってパパが頑張らないと利音留学最後まで出来ないだろ？
だからパパが頑張って働いて利音の夢応援しないと
金銭面で諦めさせたくないからね(笑)』

" こんなこと子供の前で言いたくなかったけど(笑) "

なんて笑いながら話してくれた彼の瞳は

少しだけ、少しだけウルウルしていた

利「パパ、俺本気で頑張るから」

『おう、ママを超えられるといいけどな！』

利「そんなの余裕でしょ」

「ママの腕舐めたらダメだよ～？
これでもあの有名な雑誌のメイクさんやってたんだから
馬鹿にされちゃ困るね～！」

鈴「え、ママあの雑誌やってたの？！」

「そうだよ～、直ぐ辞めちゃったけどね(笑)」

利「じゃあ、俺がその雑誌のヘアメイクになる」

『おっ、いい心構えだ！』

「ねえ、さっきから調子乗らないで？
ご飯粒飛ばしてるし汚いから」

息子がやっと夢を追いかける決意をしたそんな矢先、

自分の職が一つ失われた

モデル

憧れていたその夢が叶った瞬間の彼の表情

忘れられるわけがない

私も一緒に喜んだ、2人で跳ねて喜んだ

初めて専属モデルになった時の雑誌

今でも大切に取っておいてある

少し緊張した表情と普段の彼の素の表情に

モデルにぴったりのスタイル

毎月自宅に届く度に子供達と見ていた

そんなことも来月から無くなる

利「俺、それでパパの専属ヘアメイクになるから」

『、、楽しみにしてるな』

2人共追うものはそれぞれだけど

見ている方向は一緒

それなのに希望に満ち溢れている先と

終わりが見えている先をそれぞれが見ていると思うと

胸が苦しくなる

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