会えない数だけ (ページ34)

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" 美勇人先輩、近々ハワイ行くって "

凪が電話で言っていたこと

今はそんなこと考えている場合じゃないって

自分にずっと言い聞かせてるけど

頭の中はそのことでいっぱいだった

「ここに来る前に別れておけばよかったのかな」

稜「、、、彼氏？」

「フフ、どうなんだろ」

同じ学部の稜くん

ハワイに留学することを聞いて仲良くなった

夜、外の空気を吸いたくなって下宿先のコテージに

ある大きなテラスで稜くんと肩を並べて星を見ていた

何かを思ったのか突然独り言を呟いた

そしてその内容が稜くんの耳に届いていた

稜「どうなんだろって(笑)
じゃあ、その人ってどんな人なの？」

「ビビリでヘタレな21歳
あ、こないだ誕生日だったから22歳か」

稜「歳上でそれって大丈夫かよ(笑)」

「笑えないくらいビビリでヘタレなの。
虫はダメ、風船はダメ、女の子みたいに悲鳴上げるの。
私より女の子みたいでたまにムカつく」

稜「Aはそういうの大丈夫そう」

「でもね、優しいんだ。自分のことより私のこと。
ちょっとお仕事特殊なのね？だからなかなか会えない。
だけど会う！って決めたら意地でも仕事巻いて来れて」

稜「彼氏、相当Aのこと好きなんだな」

「そうだといいけどね、、、(笑)」

何を思ったのかしゃがんで柵に寄りかかった

稜「A？」

「起きたら、いなかったの」

そう、美勇人は起きたら居なかった

代償として私の大好きな柔軟剤の匂いと

美勇人の付けているほんのり甘い香りの香水

だけを置いて行った

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