会えない数だけ (ページ27)

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Myuto.

" 留学するって、Aちゃん "

撮影寸前に顕嵐からそう言われた

聞き間違えだ、夢だ、なんて思って頬を抓るけど

『まじかよ』

現実だった

カ「はい、美勇人くん終了。
今日すごいいい感じに撮れてるよ」

『ありがとうございます』

" 哀愁 "

今日の撮影のテーマ

電信柱に寄り掛かり、雨に打たれるシーン

今の俺にピッタリだ

「セットした髪が台無しだ(笑)」

『シャワー浴びなきゃな』

バスローブを服の上から着て、フェイスタオルで

頭を拭く俺の横に座るやっすー

謙「今日は随分テーマにピッタリなオーラ放って
いますね、森田さん」

『茶化しにでも来たか？(笑)』

謙「あ、笑った(笑)」

『そりゃ俺も人間だから笑うわ』

大人しく降格を少し上げて笑った

謙「俺ら何もしてあげられてないよな」

『俺ら？』

謙「俺と凪。まあ多分凪はAと学校一緒だから
何かしら聞いてると思うけど、俺には言えないんだろう
って思うんだよなー。
絶対本人の耳に入るからか(笑)」

『留学すんだって、A』

謙「まじ？」

『学部自体が外国語コースだからさ、4年間のうちに
留学はしなきゃいけないらしくて。
まさかこの時期だとは思わなかったけど、それを
本人の口からじゃなくて顕嵐の口から聞いたのが
無性に腹立つっつーかなんつーか』

本当だったら今頃留学の話を2人で話し合ってるはず

だけど俺自身が迎えに行くまで連絡取らないって決めたし

俺の耳に入ったところでどうしようも出来ない

謙「背中、押してやれよ」

俺の問題なのに、哀しげに言うやっすー

その表情はどんな思い？

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