素直な彼氏とツンデレ彼女 (ページ36)

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桜が舞う4月

一昨年近所の花屋さんが
私達の住宅街の一角に

大きな桜の木を埋めた

今年も綺麗に咲いている

『ネクタイ曲がってない？』

「あーちょっと曲がってる」

莉「早く撮ろうよ」

『ちょっと待って』

新しいスーツを身に纏った莉子

今日は専門学校の入学式で
その前に写真を撮ることになったが、

康「莉子ちゃんもう少し左寄って！」

莉「こっち？」

康「そう！ラウール照明係ちゃんとやれ！」

ラ「もう疲れたよ～」

康二くんが撮りたいと言って、
朝早くからラウールくんを引き連れて

家へとわざわざやって来た

「ん、これで大丈夫」

『ありがと』

" じゃ、撮るで～ "

康二くんの声に、私達家族は
レンズに向かって笑顔になる

康「お！ええの撮れたで！」

莉「じーこ見せて！」

康二くんのところへ向かう莉子

莉「桜めっちゃいい感じ！」

ラ「いやー俺センスあるわ」

康「俺の手にかかればこんなもんちょちょいのちょいや！」

ラ「自分で言わない方がいいよ」

と、和気藹々とやっている3人を
遠くから見る私達

『また離れていくな～莉子が』

「そうだね。でも、成長見れて嬉しいよ」

『はぁ～次は成人式か～』

「気が早いって(笑)」

溺愛っぷりが凄い彼は
お嫁にいったら大変なんじゃないかと

今からヒヤヒヤしてしまう

『Aは俺から離れないでよね』

「何今更(笑)」

『濁した』

「濁してないです(笑)
蓮が嫌って言うまで離れないですよ～」

と、言えば照れたのか俯く彼

『あぁ～！マジでムカつく！
なんでこんなに可愛いの、無理。チューしよ』

「はぁ？やだよなんで今？！」

『いいから！チューさせろ！ん！ん！』

40過ぎた男女がバカップルみたいで
さっきまで楽しそうにしていた3人が

こっちを見て笑っている

ラ「あー！めめチューした！」

康「待って！めっちゃええの撮れた！」

莉「はぁ、もう恥ずかしい」

いつまでも強引な彼に振り回されて
たまにイラッとしてしまうけど

彼がいいし、彼じゃなきゃダメ

そう教えてくれたのは
紛れも無くコロナだったのかも、なんて

今は少しだけ感謝している

『A大好き』

「うん」

『うわ、昔に戻った。Aは？』

「私？」

『そう、教えて？』

もう子供じゃないからね

私素直だよ

「私は、愛してる」

って、ね(笑)

End.