素直な彼氏とツンデレ彼女 (ページ17)

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「あ、今日バレンタインか、」

ストーリーを見れば
皆んなしてハッピーバレンタイン、って

逆バレンタイン！と
彼氏が作ったクッキーを持った

高校のそこまで仲良くなかった同級生が
嬉しそうに写真を載せていた

そんな私はバレンタインだなんて
そんな行事すら忘れていた

今から作ろうとしても
材料なんて無いし、買いに行くのも面倒だ

「ま、関係ないか」

彼から来たあの連絡は
既読だけ付けて終わらせた

返す気力も無ければ、
返す必要性も無かった

謝る必要も説明する必要も
一切ないから

「あ、もしもし？どしたの？」

突然鳴った着信音

ハッピーバレンタイン！と
鼓膜が破れそうな程のボリュームで

葉月がそう言った

「煩いって」

葉「今Aん家のポストにチョコ入れといたから
溶ける前に早く食べてね！」

「え、今マンションいるの？」

葉「今から彼氏に会うからもういないよ～。
じゃ、ホワイトデー期待してる！じゃね！」

勢いよく切られた電話と
嵐の様に騒がしかった葉月の声が

聞こえなくなると
少しばかり寂しく感じた

「取りに行くか」

カーディガンを羽織って
鍵を開けてドアを開けた

「痛っ、」

「、、えっ」

おでこをさすりながら
私を見る184cmの男

『これって、逆バレンタインになりますか』

「えっ、」

鼻も指先も真っ赤で
いつまで外にいたんだよ、って

なんでインターホン
押さないで此処にいたんだよ、って

私がいなかったら
どうしてたんだよ、って

『目黒蓮ってチョコ届けに来たんですけど、』

「、はい」

『なかなか溶けそうにないんで、
溶かしてもらってもいいですか？』

「私、今塩分多いんですけど、いいです、か」

塩分という名の涙が
ポロポロと頬を伝って流れていく

前が霞んで見えないけど

『僕にはそれくらいが丁度いいです』

と言って、笑ってくれた

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