シロツメクサの花冠 (ページ34)

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「なんで、」

『なんとなく』

「そっか」

8時半、神宮寺と一緒に裏口から出た

裏口から出てお店の入り口の前に行けば

その壁に慎太郎がスマホを弄りながらもたれていた

神「俺これから岸くん達と予定あるからこっちから帰るね」

「あっ、うん、分かった。お疲れ様」

神「お疲れ様」

いつも途中まで神宮寺と帰っているけど

この空気を見て察したのだろう

だから予定も無いのにいつもと逆の道へと進んだ

神宮寺はなんだかんだで空気が読める男

『あの人、バイトの先輩？』

「そうだよ。それと、去年までうちの高校にいた」

『じゃあ先輩なんだね』

「神宮寺。チャラそうに見えて普通に良い人」

『そっか』

肩を並べて神宮寺の話をするけど

こんなこと話すために来るわけないし

寧ろ今の私達がこんな会話してること自体ありえない

「てか、なんで来たの？」

『まあ、色々と』

「色々って何？」

『色々ってのは、』

「慎太郎っていつもそうだよね。
答え出てるくせにちゃんと話してくれない。
グズグズして本当のこと全然言えないの。
別に思ってることくらい言ってくれればいいのに。
それとも私だから？私相手だから言えないの？」

『別にそんなんじゃない。
そしたらAだってそうだろ。
人の話聞かないで全部先に思ったこと話しちゃう。
そのくせして1人で抱え込んで辛い思いして』

こんなこと話すために来たわけじゃないのは

馬鹿な私でも分かる、分からなきゃおかしい

だけどまだ喧嘩したままだから

こんな呑気な話ししていられるような余裕など

私達2人の間にはないのだ

「こんなんで揉めるなら、実行委員なんて
一緒にやらなきゃよかった」

『そうだな、なんで俺も手挙げたのかね』

「北ちゃんにやらせればよかった」

お互い玄関のドアノブに手を掛けた時

思ってもいないのに、感情に任せて言ってしまった

挙げ句の果てには北ちゃんの名前まで出して

そしたら彼は言った

『、、さすがにそれはキツイわ』

勢いよくドアを開けて家に入ってしまった

「やっ、、違うのに、、」

言わせちゃいけない言葉を言わせてしまった

" Aだからやる "

って楽しそうにそう言ってくれたのに

「もうどうすればいいの、、」

次こそは本当に後戻り出来ない

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