シロツメクサの花冠 (ページ5)

今日:4 hit、昨日:43 hit、合計:156,304 hit

005 ページ5

.

『マジあっちい』

「慎太郎汗凄い(笑)」

皆んなと別れて、そこから彼と2人で帰る

もう秋に向かっているというのに

まだ空気はジメッとしていて、

部活終わりの彼等には少し可哀想だ

『Aさ、明後日バイト？』

「明後日って日曜か。何も無いよ」

『マジ？じゃあ大会見に来てくんね？
日曜だと県予選決勝だからさ』

「あー！県予選か！」

『そうそう！あ、見てよこれ！』

そう言って何やらスクバをゴソゴソと荒らす

" あった！ "

なんて大声で叫んで広げて私に見せてきたもの

「え、ちょ、マジ？！」

『凄くね？！俺エース番号貰っちゃってさ！』

少し光沢のついた緑のユニフォーム

そこには白で書かれた「7」の数字

そう、バスケだとエースだ

「慎太郎そんなに上手いの？」

『え、まずそこ？(笑)』

「え、なんて聞くべきだったの」

『さすが慎太郎！大好きっ♡って？』

「私にそんなの求めても無駄だけど」

『え～、ケチっ！』

風の噂で彼は才能があると聞いていたが、

入部して1週間で、先輩が来ていたユニフォームを

いとも簡単に背をってしまうなんて凄すぎる

「でも本当に凄いよ」

『へっ、ありがと(笑)
当日ちゃんと応援しないとマジ負けるからな？』

「勝利の女神って呼ばれてるからいるだけで勝てるっしょ」

『うーん、それはないね』

「前言撤回、負けろ」

『はぁ？！おま、それはねえって！』

なんか、会ってそんなに時間経ってないのに

制服着て家まで追いかけっこなんて

側から見たら、いい年した高校生が、なんて

思われちゃうかもしれない

だけど小さい頃から、何かといえば

追いかけっこばっかりしていて

私達にとったら昔に戻ったみたいだ

.