境界線 Ⅳ (ページ8)

今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:146,172 hit

158 ページ8

.

龍「今日からAの家だ」

" 好きに使ってくれ "

そう言われて連れて行かれたのは

この人の所有物、マンションの最上階全てが

私の部屋だった

「こんなの、貰えないです」

龍「A、お前は神門家の一人娘だ。
卒業祝い、ということにでもしとこう(笑)」

不安げな私に、なんの気もなく笑うこの人は

パパよりも嫌な人なんだと悟った

会社から電話が掛かってきた実の父親は

急ぎ足でこの部屋を出て行った

「はぁ、、」

勝手に備え付けられた家具

全て有名ブランドの物であって

ソファに座るのでさえも一苦労

こんなの汚したらなんて言われるだろう

気持ちが落ち着かなくてもうダメだ

「なんだ、落ち着ける場所何処にも無いじゃん」

ベランダへと出れば、目の前は道路

外車はもちろん、バスやタクシー、パトカーまで

クラクションは鳴り放題の外

あれ？日本はどうだったっけ

私の家の前はそんなに車も通らなければ

東京なのに空気は澄んでいたほうだ

少し歩けば大きな木がある公園があって

友達と会える距離にだって住んでいたのに

「おっかしいな～(笑)」

泣かないと決めたのに

笑うのも控えようと決めたのに

泣きながら笑ってしまうのは、何故？

.