境界線 Ⅳ (ページ17)

今日:17 hit、昨日:1 hit、合計:146,183 hit

167 ページ17

.

「あの、お話があります」

龍「なんだ？」

お昼休み、自分の会社を出て少しあるこの人の会社へと

一人で足を運んだ

「いいですか？もう」

龍「何がだ？」

「、、帰りたいです」

龍「家にか？」

「いや、日本に」

この3年間、無心になって働き続けた

楽しみも何もかも捨てて必死に働いた

いつまでこの生活をすればいいのだろう、

ただそれだけが頭の中でループして

言おう言おうと思っていたけど言えなかった

龍「borderはどうする？Aのブランドだぞ？」

「日本でそのまま続けます」

龍「そんなこと出来ると思ってんのか？」

「っ、やってないのに勝手に決めつけないで下さい！
私は、今までずっと我慢してきた。
突然貴方が私の前に現れて、実の父親だ、なんて言われて。
整理つかないし信じたくなかった。
都合の良いように連れて来られてブランド立ち上げられて。
何も、何も嬉しくなかった。
広い家にブランド物ばかりの家具、落ち着くわけがない。
もう、自由にして欲しいんです、お願いします」

泣くのを堪えて必死に話す私に鼻で笑うこの人

ただ、きっと感情が無い人なんだろうな、って

龍「熱く語るところ、麗子にそっくりだ(笑)」

「麗子、、？」

龍「麗子は、Aの実の母親だ。
麗子は本当に気が強くて芯があってカッコいい人だった。
それにAは似たんだな、昔の麗子を見ているみたいだ」

なんて感慨深く語るこの人は何がしたいのか分からなかった

龍「A」

「はい」

龍「幸せってなんだか知ってるか？」

「幸せ、、。分からないです、未だに」

龍「だよな、俺も正直分かってない(笑)
だけどな、幸せは一人で掴めるものじゃない」

「一人では無理？」

龍「幸せの上の横棒を無くしてみろ。なんて字になるか？」

「、、えっと、、あっ、辛い」

龍「だよな。だけどその横棒を足せば幸せになる。
その横棒を足してくれるのは誰かの力が必要だ」

「はぁ、」

龍「Aにとって、そんな人はいるか？」

私を幸せにしてくれる人

いるよ、いる

「沢山、います」

ひーくん、優奈、しょっぴー、神くん達にジェシー達

それから、それから、、

「ずっと一緒にいたい、って思う人もいます」

" そうか "

と今まで見たことない表情で笑うこの人

龍「やっと教えてくれてありがとう」

そう言って私を置いて部屋を出た

.