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文化祭も終わり、いよいよ後夜祭

校内には誰もいない

皆んな体育館に行って後夜祭を楽しんでいる

きっとそれが終わったら校庭にでも行って

カップルや友達同士で打ち上げ花火でも見るんだろうな

『何、此処にいたの？』

「せんせ、、」

『奴等といないから探したわ』

" 帰ったかと思ったわ "

なんて私のいるベランダへと近づいて来た彼は

額に少しばかりの汗をかいていた

「汗流すまで探してくれてたんだね」

『エアコン何処も入ってねえからな』

「照れ屋さん(笑)」

『うっせ』

クラTを着ている私と白衣の彼

今日くらい白衣抜けばいいのに、なんていうのは

心の中で止めておいて

『今日の髪型凝ってんじゃん』

「最後の文化祭だからね、お兄ちゃんも来るから
ちょっとだけ気合入れちゃった」

『それの何処がちょっとだよ(笑)』

なんて言いながら沢山の花がついた髪の毛を無造作に触り出す

花なんて分からないし、髪型だってどんな仕組みで

結わいてあるか分からないし

それでも興味津々で髪を見る彼は面白い

「文化祭、終わっちゃうね」

『そうだな』

「先生とこうやって終える文化祭は二回目だね」

『もう一年たってんだな、はえーわ』

「時間経つのはいつ何処にいても早いよ」

現実見越して放った言葉

タイムリミットが迫っている私達に

もう何か出来ることなどない

青空が段々と暗くなっていく

下を見ればさっきまで体育館にいた生徒や先生が

ぞろぞろと出てきて花火が上がる瞬間を待ちわびている

『止まればいいのにな、時間なんて』

「出来ることならもうしてるよ(笑)」

『だな(笑)』

花火が上がるカウントダウンが始まる

" ５！４！３！２！１！ "

生徒の掛け声と共に打ち上がった花火

『A』

「ん？」

『俺、頑張るから』

「頑張る？」

『だから待ってて』

そう言って優しく口付けた

私にはその言葉の意味は分からなかった

時を止めてくれるのだろうか、なんて過ぎったが

彼の力でそんなことは一切出来ない

花火が上がる度に一瞬にして散っていく

私達ももうすぐ、あの花火のように散って

何年か経てば過去の記憶となり、いつかは忘れる

「私の前からいなくならないでね」

彼が自然と私の頭を彼自身の左肩へと寄せた

優しく髪に触れて其処に口付けすれば

自然と涙が溢れた

それは彼も一緒だった

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