境界線Ⅱ (ページ36)

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Hokuto.

『で、何してんのこんな時間に制服で』

「やらかした、って、痛い！
もう少し優しくして！保健室の先生なんだから」

『やってもらえるだけありがたいと思え』

いつも通りの時間に帰宅したら玄関の前に彼女がいた

鞄も持たずにスマホだけ、唇からは乾ききった血の跡

目を見れば泣いた跡、充血して真っ赤

「、、有難う」

『で？どうした』

「やらかした、盛大にやらかした」

『何を？』

「お兄ちゃんの政略結婚邪魔して来た」

『は？(笑)』

彼女は真剣に言っているんだろうけど

俺からしたらそんなこと彼女が出来るわけないと思い

申し訳ないけど笑ってしまった

「帰って来たら相手の家族がいて、机の上に婚姻届あってね
もう勝手に名前も全部書いてあってさ
お兄ちゃんが見知らぬ人と結婚するのが嫌で、
一緒に住めないのが嫌で、自分と同じ状況にいるお兄ちゃんを
間近で見るのが嫌で婚姻届破って来ちゃった(笑)」

『笑ってる場合じゃ無いだろ(笑)』

「ほっくんだって笑ってるじゃん」

『お前が笑うから』

内容を聞く限り、此奴はただもんじゃねえ、そう思った

「そしたらパパに怒鳴られて殴られた
だから言っちゃったんだ、身の程知らずのクソ親が！って」

『ねえ、そんな言葉何処で覚えて来たの？』

「テレビ」

『そんなテレビやってたかよ(笑)』

「ねえ、どうしよう
帰れないし、帰りたく無いし、私もあんな状況に
置かれるの絶対嫌、やだ、やだ」

『、、A』

彼女の目にはどんどん涙が溜まっていく

辛いのは凄く分かる、俺だって辛い

だけどこれに関しては何も口出しできない

力になってやりたいけどどうしていいか分からない

「ねえ、ほっくん」

『何？』

「此処で、暮らしたい」

『、、は？』

「一緒に暮らしたい
学校も行かずにずっと此処に居たい、ダメ？」

『ダメ、って言われても俺も教師って立場だからな』

「じゃあ、少しの間此処に住ませて？」

俺にとって最高の選択か？

『分かった』

好きな人といれるなら

もう、全て捨ててもいいのかね

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