境界線Ⅱ (ページ30)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:185,914 hit

080 ページ30

.

「、、いるわけないか」

始業式に出る気が失せた私は

皆んなに嘘をついて屋上へ訪れた

いつもなら既に神くんは此処にいるはずなのに

誰もいない屋上へ足を運ぶのは初めてだから

「寂しいな、なんか」

凄く孤独感を感じた

そのままいつもと同じ場所に腰掛けて

雲ひとつない空に顔を向けて

「はーあ、」

「でっけえ溜息」

「、、ん？」

ため息をついてすぐに聞きなれた声

「つーかそこ、俺の場所じゃね？」

「、、神くん」

ダラダラと歩きながらこちらへ向かって来る神くんに驚いて

勢いで起き上がり、左へと体を移動させた

神「俺より先に来るとかルール違反なんだけど」

「や、それは、ね」

神「俺が居ない時来るの無し」

「あ、はぁ、、」

神「で？何しに来たの？」

「いや、特に意味は無いよ」

神「ふーん」

「ふーんって何、ふーんって」

神「俺に用があると思ったから」

って、いつもみたいに笑って言って来るから

「ずっとムカつく」

神「ずっとって何だよ、ずっとって」

「ご想像にお任せします」

神「ケチだな～、有料ですか？その話」

「別に違うし」

此処に来たら素直に話せるかな、って思ったけど

全然そうはいかなかった

寧ろ言える空気にもならない

神「で？本当は俺に用があって来たんじゃないの？」

「、、え？」

神「だって、お前さっきからそわそわし過ぎ」

「別に、そんなこと」

神「あるから、そんなことあるから(笑)」

" ほら行ってみ？ "

って首を傾げて言うもんだから

「っ、、神くんうざい」

神「え？」

「神くんうざい、あのまま言って帰って」

神「あぁ、」

「辛かった、初めて人に裏切られた」

神「は？」

「私にとって神くんはお兄ちゃんみたいな存在なの
優奈やしょっぴー、それからひーくんとは違う存在なの」

誰もいないのをいいことに

気にせず大きな声で隣にいる神くんに話す

神「なんだ、そんなことか」

「、、そんなこと？」

神「もう絶交だから、とか言われると思った」

そのまま後ろに倒れて

" あーあ！心配して損した！ "

後ろでそんなことを言われて少しだけホッとした

だけど大事なこと、一つだけ言えてない

「ねえ、神くん」

神「ん？」

「怒ってる？」

神「え？」

" 松村北斗 "

そう言うとまた起き上がって彼は言った

神「内緒」

誤魔化してまた寝そべった

.