1話 ページ1
みんなが、泣いている。
私の周りにいる人は行列を作って、真っ黒な服を着て泣いている。
ここは、どこかのお葬式場のようだ。
誰か亡くなったの?
それよりも、私はどうして、ここにいるの??
ちょうどいいところに職員のおじさんがいるから聞いてみよう。
「すみません、ここ、どこですか?」
「………」
あれ、聞こえてない??
「すーみーまーせーんー」
少し大きな声をかけてもおじさんは書類から目を離さない。
もう、なんなの。こんな接客でいいのかしら。
違う人に聞くからいいよ。
もういちど列に並ぼうと思った時に
聞きなれた声がした。
「……瀬南くん。ありがとう、来てくれたのね」
お母さん?
ああ、良かった。お母さんもここにいるのなら安心しておうちに帰れる。
「……俺の、俺のせいなんです。俺が会おうって言ったから…!」
!!
遥だ。
大好きな遥を見つけて駆け寄ろうとしたけど足が止まった。
……遥が、泣いている。
いつも笑っててニコニコしてる遥が、泣いている。
「違うの。瀬南くんのせいじゃないのよ、、
誰のせいでもないの……っ」
お母さんが泣き崩れるのを遥が支える。
「お母さん!しっかりして!」
慌ててそばによっても、お母さんも遥も私のことを見向きもしない。
ねえ、お母さんも遥も参加してて
二人ともこんなに悲しむお葬式って、いったい誰のなの?
どうして、二人とも私に気付かないの?
何か、何かおかしい。
ガチャり。
ドアから職員が出てきて、隙間から見える会場に目を向けた。
「嘘、でしょう…」
その遺影に映っているのは
紛れもない私、
天津Aだった。
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作者名:すず | 作成日時:2015年10月14日 0時