来世を信じた君と俺 2【wrwrd】【ci】

18話 ページ4

.

はぁはぁと息を荒らげて森へ向かう
一本道をたどってあの丘へ
少しして真っ赤な彼岸花の景色が見える
感じるの
今日は会えるって
なんだかわかるの
ゆっくり歩いてシオンの花の元へ立つ
周りを見渡せば静かに彼岸花が揺れている



『っはぁ、はぁ、まだ来てない……ふぅ、、』



膝を曲げしゃがんで息を整えて落ち着く
心臓がまだバクバクして
身体が痺れる
起きて間もないから足が震えて脳がまだビリビリする


あまりにも静かで花が揺れる音と
懐中時計が時を刻む音が聞こえてくる


ザザっと土を蹴る音がした

はっとして後ろを振り向く

そこに居たのはチーノではなく


私より少し背の高い
20代後半くらいの男だった
シャツをだらしなく着こなして長いブーツにズボンをいれてカーキのジャケットを着ていた



〈こんなとこに人がいるとはこんにちはお嬢さん〉

『…』



にこっと笑いかけてきてゆっくり近づく男

(目が……全く笑ってない……)

悪寒がした



『だ、誰ですか』

〈俺はディック〉

〈この国は素敵だね初めて観光しに来たけどほんとにいい国だ、さぞかし王は優秀なんだろう〉

『観光ですか……？』

〈あぁこの国では珍しくないだろ？1週間前からね、ここも素敵だ〉



よくわからなかった違和感が一致した気がした
ヴァルツ国との今の現状
この国は閉ざされてる
それもだいぶ前から

冷や汗がぶわっと全身から溢れる
手が震えてさっきとは違う痛いくらいに心臓が鳴る




『っ……』




ゴクリと唾を飲み込む
一定の距離を保った男はずっとにこやかに笑ってる



ザクッ……と土を蹴る音
男の後ろには待ってたあの人





｢A…………？｣




『ち、ぃーの』




〈おっと、これは想定外だ〉









〈｢動くな｣〉









2人は同時に拳銃を取りだし
チーノは男へ男は私に向けた
引き金に指はどちらもかかっている


｢くっそがっ……｣


チーノは険しい顔をして男を睨む




〈お前見た事あるぞ？期待の新人くんだろ〉



｢偶然やな俺も見た事あるわその不細工なツラ｣




資料に載ってた男
こんなとこまで来てるとは状況は明らかにチーノが不利だった




『ちぃ、の……』


〈変な動きしてみろ殺すぞ〉


｢動くなよA｣




涼しい風が吹く中汗が止まらなかった
足が震えて立つのもままならない






.

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す